ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

愛に堕ちた軍神

愛に堕ちた軍神

著者:
石田累
イラスト:
篁ふみ
発売日:
2019/06/03
価格:
680円(税抜)
 

この愛を貫き通す覚悟を決められよ。

軍神伝説の残るゴラド王国の王太子ラウルのもとへ嫁ぐことになった前法皇の娘アディス。異母兄に父を殺されたアディスは、復讐のためラウルを利用しようとするが……。「あなたは俺の妻だ。今日から、聖戦が終わるその日まで」謎めいた言葉とともに昼夜問わず激しく求められ、抗うことができない。欲望のまま貪られて身も心もラウルに溺れていく。しかし異教徒との聖戦が迫る中で、いにしえの軍神伝説に縛られた彼の血の宿命を知ってしまい――!?

宿命に囚われた王太子×人質同然の花嫁、呪われた盟約を打ち破る恋。

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登場人物紹介

アディス

アディス

前法皇の娘。幼い頃は神童と称えられ『軍神ルキア』の再来と噂されていた。異母兄に父を殺され復讐を誓う。

ラウル

ラウル

謎めいたゴラド王国の王太子。人質同然で嫁いできたアディスとの政略結婚を受け入れるが果たしてその心中は?

お試し読み

「服を脱げ」
 ──え……?
「服を脱いで、俺の前に立ってみろ。身体を検めさせてもらう」
「ここで……でございますか」
「ここでだ」
 一体なんの真似だろう。アディスは戸惑ってラウルを見た。彼の表情は変わらない。石のように冷徹で、目は暗い翳りを帯びている。
「これも……、先ほどのご質問の続きですか?」
「そう思っていただいて結構だ」
 まさか私が、武器でも隠し持っていると疑っているのだろうか。八年前ならいざ知らず、もうそこまで愚かでも浅はかでもないというのに──
「承知いたしました。私に邪心がないことを、どうぞお確かめくださいませ」
 幾枚も重ねた上衣を脱ぐと、冷気が?き出しになった肌に触れた。さすがに動揺が手元を狂わせたが、アディスはベルトを解き、腰のボタンを外した。これまで幾度かあった試練の中で、今が最悪であるはずがない。──大丈夫、大丈夫。
 シュミーズの紐に手をかける前に、結い上げてあった髪を解いた。せめて髪で身体を隠すつもりだったが、ゆるやかに解けた髪が胸元に落ちた時、逆に自分を守っていた何かを失ったような気持ちになった。
 ジジ……と燭台の蝋燭が燃える音がする。ラウルは身じろぎもしなかった。
「……それで終わりか」
「いいえ」
 素肌が冷気でそそけ立つ。様々な感情で気持ちは千々に乱れていたが、取り乱してしまったらそこで負けだ。この人は私を試しているのだ。
 目をつむってシュミーズを肩から下ろそうとした時、ラウルが立ち上がる気配がした。
「もういい」
 立ちすくんでいると手首を掴まれ、その場から引き離される。目の前に迫る寝台に、アディスは身体を強張らせた。
 どうしよう。想像していたよりずっと怖い。どうなるんだろう、どうするんだろう。
 天蓋の覆いを払うと、ラウルはアディスを寝台の上に俯せに押し倒した。恐ろしさで身震いがする。身体が固まって、石のように動かない。
「──そのままの姿勢で、決して俺を振り返るな」
 肩に置かれた大きな手。頭上から聞こえる低い声に、心臓が激しく高鳴った。
「あなたも恐ろしいだろうが、俺もそうだ。交合は、男を恐ろしく無防備にするというが、知っているか」
「い、……いえ」
「……そのまま両膝を立てられよ」
 燭台で蝋燭が淡い光を放っている。私も初めてならこの人も初めてなのだ──そう思いながら、アディスはぎこちなく膝を立てた。
 まるで四つ足の動物のような体勢。次に何をされるか判らない恐怖。心臓がどくどくと鈍い音を立てている。一刻も早くこの時間が過ぎて欲しい。この期に及んでもう願うのはそれだけだ。
 寝台が軋み、衣ずれの音がした。背後で膝立ちになった彼が、自身の衣服をくつろげている。すぐに大きな手が腿に触れ、シュミーズの裾が躊躇いもなくたくし上げられた。
 冷気にさらされた尻が微かに震えた。間を置かず、それを覆う最後の下着の紐が解かれる。思わず足を閉じようとしたが、その間に彼の膝が入ってきた。
「──動くな」
 これは床入りの儀式で、夫婦なら誰でも通る道なのだ。アディスは必死に自分に言い聞かせた。耐えなければ──耐えなければ──
「あっ……」
 その時、内腿の間にぬるっとしたものが入り込んだ。
「……あ、……な、何でございます、か」
 戸惑いながら口にした時には、アディスにもその正体がわかっていた。ラウルの指が内腿の間──自分でも触れたことのない肉の狭間に入り込んでいるのだ。
 ──きっと、そこが槍を刺す場所なんだわ。でも……なんだか……。
 女性の入り口は、普段は閉じているけど、いざとなれば開くものらしい。閨房の所作を教えてくれた老女はそう言ったが、でも──
 粘着性の液体でもつけているのか、硬くて太い指がぬるぬると腿の間で動いている。柔らかな肉と柔毛をかき分けて狭間に沈み、その底にあるものをクチュクチュと優しく弄る。
 その未知の感触は、決して気持ちのいいものではないのに、どこか淫靡で罪深かった。
 指の先端が深みに沈む。それが抜かれてまた沈む。次第に腰が疼くような浮遊感が身体の奥から湧き上がってくる。
 ──い、いや……、これ、いつまで続くの?
「辛いか」
「ん……、い、……いえ」
 ラウルが大きく息を吐く。次の瞬間、それまで躊躇いがちに狭間を行き来していた指が、驚くほど奥に押し込まれた。骨に響くような鈍い痛みに、アディスは眉を顰めて敷布を握りしめる。
「……、っい……」
 一変して優しさを失った指の動きに、忘れかけていた恐ろしさが蘇った。痛い、怖い。もっとゆっくりしてと頼みたかったが、年上の自分が弱音など吐きたくない。ああ、でもこれがいつまで続くんだろう? いつまで──こんな……拷問みたいな時間が……。
 目をつむり、膝を震わせながら、アディスは苦痛に必死に耐えた。ラウルの指は容赦なく狭い壁を押し開き、さらにその奥を割り開くようにして内壁を穿ち続ける。
 寝台の微かな軋みと濡れた音。少し乱れた自分の息。耳を凝らすとラウルの呼吸がそこに交じっているのが判る。荒い──? どこか乱れている? 判らない。辛いのは私だけのはずだが、彼もまた辛そうに思えるのは気のせいだろうか?
 ようやく指が内腿から離れる。思わず肩の力を抜くと、今度は腰を両手で抱えられた。
 あっと思った。先ほどまで指が埋まっていた場所に、硬い異物が当てられている。その大きさと硬さに全身が凍りついた。



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