ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

会員限定特典小説

trick or treat!

   † † †

 庭の木々の葉が赤や黄色と華やかに色づいた十月。
 ノアとロイが経営している紅茶メーカー『ロティローズ』の中でも、その名の付いた薔薇の紅茶『ロティローズ』を飲みながら、ロレッタはティールームから庭の紅葉を眺めて午後のお茶をしていた。
 愛するノアとロイは仕事へ出かけているが、ロレッタは一人でも特に退屈することなく、ふくよかな薔薇の香りのするお茶を楽しんでいたのだが――。
「あぁ、そのジャック・オー・ランタンは玄関ポーチの左右に配置を。あとでチェックをするので、見栄え良く飾るように」
 廊下で執事のロバートがメイドに指示を出す声と、メイド達の賑やかな声が聞こえてきた。
 普段は使用人が忙しなくしていてもさほど気にならないが、ロレッタは珍しく興味を引かれてティーカップをテーブルに置いて廊下へと向かった。
「……なにをしているの?」
「これはお寛ぎのところ失礼いたしました。そろそろハロウィンが近くなりましたので、ジャック・オー・ランタンを飾り付けしておりました」
「ハロウィン。もうそんな時期なのね」
 ノアとロイに屋敷内で大切に愛されているおかげで、月日の過ぎる感覚が希薄になっていたが、ハロウィンと聞いてロレッタは遠い昔を思い出した。
 男爵家の令嬢だった子供の頃は、近所の子供達のように周りの家をまわってお菓子をもらいに行くような真似はしなかったものの、屋敷内でお姫様や魔女の格好をして、両親や使用人にお菓子をもらった楽しい記憶がある。
「なんだか楽しそう。バークリー伯爵家でもハロウィンは恒例行事なの?」
「いいえ、今年が初めてです。ロレッタ様の為にノア様とロイ様が飾り付けの指示を出されました」
 それだけではなくハロウィンの日には、カボチャをふんだんに使用した晩餐の指示も出ているようで、二人がロレッタの為に最高のハロウィンナイトを演出しようとしてくれていることを知った。
「料理長より期待していてくださいとのことでした」
「ならばデザートは私がパンプキンパイとパンプキンプディングをノアお兄様とロイお兄様の為に作りたいわ」
「それはいいアイデアですね。お二人も喜ばれます」
 二人に感謝を込めてお菓子を作る案をロバートにも褒められて、ロレッタはハロウィンが来るのが待ち遠しくなった。
 まるで子供の頃へ戻ったようにワクワクした気分にもなり、久しぶりの大仕事にロレッタは午後のお茶もそこそこに図書室へと向かった。
 そしてロレッタは図書室に並んでいる本の中から愛読しているお菓子のレシピ本を取り出し、パンプキンプディングとパンプキンパイのレシピを書き出した。
 屋敷にはとても美味しい料理を作ってくれる料理長がいるので、本のレシピ以外にもコツを訊くつもりだ。
「パイ生地は前日から仕込むとして、当日は午前中からがんばって作らないと」
 よくノアとロイの為にお菓子を作ることはあるが作っても一品しか作ったことがなく、それでも午後のお茶に間に合わせるの為に、けっこう急いで作っているのだ。
 それなのにハロウィン当日は二品も作るとあって、ロレッタは午前中からがんばるつもりでメモを片手に今度は調理室へと向かった。
「こんにちは、少しいいかしら?」
「これはロレッタ様。いかがなさいましたか?」
「実はハロウィンの晩餐のデザートは、私がノアお兄様とロイお兄様の為にパンプキンパイとパンプキンプディングを作ろうと思うの」
 もう夕食の準備に入っていた料理長は忙しいというのにロレッタの来訪を歓迎してくれて、ハロウィンのプランを話すと手放しで喜んでくれた。
「ノア様もロイ様もロレッタ様の作る絶品デザートだけは完食されますからね」
「あら、料理長のお菓子もとても美味しいわ」
「ロレッタ様がそう仰ってくださるだけで幸せでございます。さて、当日はなにを用意いたしましょう?」
 すっかり心得ている料理長に、ロレッタはパイ生地作りの為の小麦粉とバター、そして中に詰めるフィリングのカボチャと生クリームにシナモン。それからパンプキンプディングの為のカボチャと牛乳、卵などの用意を頼んだ。
「パンプキンパイにはシナモン以外にクローヴをほんの少し入れて、パンプキンプディングにはラム酒を加えると、さらに美味しくなりますよ」
「是非試してみたいわ。それじゃ、クローヴとラム酒の用意もお願い」
「かしこまりました。それではパイ生地を作る前日までにはすべて取り揃えてお待ちしております」
「よろしくね。どうもありがとう」
 料理長との打ち合わせも終わりロレッタが張り切って廊下を歩いていると、ロバート達も屋敷の飾り付けを終え、最終チェックをしていた。
「まぁ、素敵!」
 玄関ホールには手のひらサイズのジャック・オー・ランタンが、黒く塗装されて扇状に広がっている雲龍柳にたくさん吊されていて、フラワーベースの周りには中型のジャック・オー・ランタンが飾られていた。
「お褒めくださってありがとうございます。これから蝋燭に火を灯します」
 黒とオレンジのコントラストがとても素敵でそれだけでも満足だったのに、ロバートが中型のジャック・オー・ランタンに蝋燭を灯すと、さらに幻想的な雰囲気になった。
「玄関ポーチのジャック・オー・ランタンにも既に蝋燭を灯してございます。日が暮れてまいりましたので、きっと満足していただけるかと」
「是非見たいわ」
 ロレッタのリクエストに応えて、ロバートは玄関を開いた。
 さっそく外へ出てみると、玄関ポーチには大きなジャック・オー・ランタンが両扉の左右にアイビーと共にアシンメトリーに飾られていて、夕闇の中で煌々と輝いていた。
「素敵、本当にハロウィンが待ち遠しくなったわ」
「そう仰っていただけると、私共も飾り付けした甲斐がございます」
 ジャック・オー・ランタンから放たれる蝋燭の明かりはどこか温かみがあって、ロレッタが寒さも忘れて眺めていると、それからほどなくして車が庭へ入ってくる音がした。
 ヘッドライトの明かりが近づいてくるのを待っていると、それはやはりノアとロイを乗せた車で、玄関ポーチに着くなりノアとロイは車から急いで降りて、まずはノアがロレッタを抱きしめた。
「おかえりなさい、ノアお兄様、ロイお兄様。素敵なハロウィンをどうもありがとう」
「喜んでもらえて嬉しいが、身体がすっかり冷えている」
 まるで自らの身体で温めるように、ノアは逞しい胸の中へロレッタを包み込み、頬や口唇にチュッとキスをしながらも身体をさすってくれる。
「だって蝋燭が灯ったジャック・オー・ランタンがとても素敵だったんですもの」
 柔らかなキスがくすぐったくて、ロレッタはクスクス笑いながらもノアを見上げていると、今度はロイに腕を引かれて胸の中へ閉じ込められた。
「確かに綺麗だけど、これでロティが風邪を引いたら元も子もないよ。さぁ、早く家に入ろう」
 やはりロイにも口唇にチュッとバードキスをされて、屋敷の中へエスコートされた。
 それに素直に従い、ロレッタはにっこりと微笑んだ。
「玄関ホールも素敵でしょう? ロバート達が綺麗に飾り付けてくれたの」
「ロティが喜んでくれたならそれでいい」
「うん、なかなかの出来映えだね。嬉しい?」
「はい、お二人が私の為にハロウィンを盛り上げてくれようとしているのがわかって、とても嬉しいです」
 二人を見上げて感謝の気持ちを伝えると、ノアとロイは満足そうに頷いた。
 庭の薔薇にあまり興味がないのと同じように、ハロウィンの飾り付けにはあまり興味がないようだが、ロレッタが喜べばそれでいいと思っているらしい。
「今年のハロウィンは金曜日だ」
「お礼はその夜にたっぷりと……ね?」
「は、はぃ……」
 毎週金曜は翌日から休日とあって、ロレッタが失神するまでか明け方まで三人で愛し合うのが恒例となっている。
 その夜はいつも以上に愛し合おうと仄めかされているのがわかり、ロレッタは頬をほんのりと染め上げながらも頷き、心は早くもハロウィンの日に飛んでいたのだった。

   † † †

「……ん、美味しい」
 カボチャのフィリングを作り終わったロレッタは、少しだけ味見をしてにっこりと微笑んだ。
 料理長が言っていたとおりにシナモン以外にクローヴもほんの少しだけ入れてみると、少しだけスパイシーになって美味しいフィリングが出来上がった。
 それと同時進行で作っていたパンプキンプディングも、とても綺麗なオレンジ色に蒸し焼きができて、型から抜いてみるとほろ苦いカラメルとノアとロイの為に多めに入れたラム酒の香りが素敵で、とても美味しそうだった。
 昼食を返上してのお菓子作りは順調に進んでいて、あとはパイ生地が焼き上がるのを待つ間、パンプキンプディングのデコレーションに専念した。
 パウンドケーキ型で蒸し焼きにしたパンプキンプディングには、切り分ける部分ごとにラム酒で香り付けしたホイップクリームを少しだけ絞り出して、その上にカボチャの種を飾り付けた。
「ロレッタ様、そろそろパイ生地が焼き上がりましたよ」
「わかったわ」

 料理長がオーブンを開けてくれるのを待って、ロレッタはパイ生地を取り出し、その出来映えに微笑んだ。
 パイは重しは載せずに、底の部分もパイ生地を膨らませるのがロレッタのオリジナルだ。
 重しを載せて焼くと綺麗な型が出来るが、そうすると底のパイ生地が膨らまずに硬く焼き上がってしまうので、重しを載せて焼く方法はあまり好きではなく、お菓子作りを何度もしてきた経験から、ロレッタが考えついた方法だった。
「それじゃ、フィリングを詰めていくわね」
 焼き上がったパイの底が潰れるのも構わずに、ゴムべらでフィリングを詰めていく。
 そうするとフィリングの重みで底のパイ生地が潰れるが、重しを載せて焼くよりも層がしっかり残るパイが出来上がるのだ。
 そうしてパイの表面を綺麗にならしてから、ロレッタは紙で作ったジャック・オー・ランタンの顔型を乗せて粉砂糖をふりかけ、紙をそっと剥がすと粉砂糖で化粧をした美味しそうなパンプキンパイが出来上がった。
「これはこれは。どちらもとても美味しそうに出来上がりましたね」
「うふふ、どうもありがとう。それじゃ、晩餐のデザートにこれを供してね」
「かしこまりました。今日は午前中からお疲れ様でした。アフタヌーンティーをお供ししますので、晩餐までお寛ぎください」
 ハロウィンの晩餐の準備で大忙しだというのに、昼食も食べずにお菓子作りをしていたロレッタの為にアフタヌーンティーの用意をしてくれた料理長の心遣いに感謝して、ロレッタはエプロンを脱いでティールームへと向かった。
「お疲れ様でした。デザート作りは上手くいきましたでしょうか?」
「えぇ、あとはオレンジ色の薔薇を晩餐の席に飾りたいから、あとで庭へ出るわ」
「それには及びません。そう仰ると思いまして、ダイニングルームに既に飾り付けております」
「あら、どうもありがとう」
 ロレッタの考えていることなどすっかりお見通しだったらしい。
 ハロウィンらしいオレンジ色の薔薇を、ロバートがこの日の為にもう飾り付けていたと知って、ロレッタはにっこりと微笑んだ。
「では昼食を返上してデザートをお作りになられたことですし、アフタヌーンティーはしっかりとお召し上がりください」
 メイドがアフターヌーンティーをワゴンに載せてやって来たところで、ロバートはワゴンをメイドから引き継ぎ、優雅な所作で紅茶を淹れてくれた。
「いい香り。今日はアップルシナモンティーね?」
「はい。ノア様とロイ様がブレンダーとご一緒に考えられたブレンドティーだそうで、ハロウィン限定で販売しているとのことです」
「こんなにいい香りの紅茶なのに、ハロウィンの時期限定なんて少し残念ね」
「来年のこの時期にまた飲めると思えば、一年の楽しみにもなります」
 そう言われてみれば確かに一年待って、またこのブレンドティーを楽しむのも悪くない気がして、ロレッタは供されたアップルシナモンティーをよく味わって飲んだ。
 そして紅茶を飲んだら甘くてスパイシーな香りに触発されたのかお腹も減ってきて、まずは大好きなキューカンバサンドから食べ始めた。
 それでも晩餐の為に少しセーブをしてケーキは半分だけ食べて、大好物のスコーンもひとつにしておいた。
 そうして充分にお腹がいっぱいになり、紅葉を眺めながらのティータイムを優雅な気分で過ごしていたのだが――。
「紅茶のおかわりはいかがです?」
「えぇ、いただくわ。でも他はもう充分」
「かしこまりました。では、午後のお茶がお済みになりましたら、晩餐までにこちらへお召し替えくださいませ」
 ロバートが綺麗にたたまれた服を差し出してくるのを見て、ロレッタは首を傾げた。
 晩餐の席ではノアとロイが贈ってくれた、とても素敵なオレンジ色のドレスを着るつもりでいたのだが、ロバートが差し出してきたのは紺地に白のエプロンドレスだったのだ。
「……晩餐の席でこれを着るの?」
「ノア様とロイ様たっての仮装のリクエストでございます」
「あの、どう見てもメイド服に見えるのだけれど……」
 受け取って広げてみれば、それはまさしくバークリー伯爵家のメイド達が着ているメイド服の変形デザインだった。
 どこが違うかといえば、ふんわりと膨らんだスカートの丈がやたらと短く、白いパニエがふわふわとしていて、ロレッタのガーターベルトも見えるほどだった。
 袖もパフスリーブの半袖で、とにかく露出が多くてあまりにも刺激的で。
「まさにこの屋敷のメイド服を改良したものでございます」
「改良……」
「改良でございです」
 ロバートは強調して言っているが、こんなに脚や腕が露出したメイド服は改良どころか改悪にしか思えない。
「これをお召しになりましたら、ノア様とロイ様がとてもお喜びになります」
「……本当に?」
 あまりにも恥ずかしくて着るのに躊躇いがあったものの、ロバートの言葉にロレッタは考え込んだ。
 愛するノアとロイには喜んでもらいたい。その気持ちは充分にある。
 しかしこの脚や腕が露出しすぎている破廉恥なメイド服を着て、二人は本当に喜ぶのだろうか?
「……ノアお兄様もロイお兄様も、こんなに薄着のメイドの仮装をして、本当に喜んでくれるのかしら……」
「それはもちろん。このロバートが保証いたします。それにお二人がわざわざデザインをされてオーダーメイドをしたメイド服でございますし、お二人も仮装をされるとのことです」
「まぁ、お兄様方も……」
 二人も仮装をするというのなら、少しは羞恥心も薄れる気がした。
 それになにより二人がわざわざ仮装用のメイド服をデザインしてくれたということが嬉しくて、ロレッタはようやく覚悟を決めた。
「お兄様方も仮装をされるのでしたら、私もメイドの仮装をします」
「ありがとうございます。ここでロレッタ様が仮装をしてくださらなかったら、このロバートがお叱りを受けるところでした」
 ポーカーフェイスが常のロバートが珍しくホッとした表情を浮かべるのがおかしくて、ロレッタは小さく噴き出した。
「まぁ、大袈裟ね。ところでお兄様方はどんな仮装をするの?」
「それはお二人がお帰りになってからのお楽しみです。さぁ、午後のお茶が済みましたら、ゆっくりと入浴をされてからこちらにお召し替えを。バスタブにミルクと蜂蜜を入れて、いい香りの薔薇の花びらを浮かべておきました」
「まぁ、素敵。どうもありがとう」
 気が利く執事のロバートが入浴の準備をしてくれていることに満足して、ロレッタは紅茶を飲み干してから自分達の部屋へとさっそく向かい、ノアとロイが帰ってくるまでの間、心ゆくまで入浴を楽しんだ。

   † † †

 ジャック・オー・ランタンに灯された蝋燭が煌々と点る玄関ホールで、ロレッタは落ち着かない気分でロバートの隣に並んでノアとロイの帰宅を待っていた。
「ロレッタ様、そんなにお気になさらなくても大丈夫でございますよ」
「けれど、こんなに短いスカートのドレスなんて初めて着るんですもの……」
 パフスリーブの半袖は真夏になれば着るので抵抗はないが、淑女として脚をこんなに露出したドレスを着ていいものかまだ納得できない。
 入浴を済ませてからこのメイド服に着替えた時も、姿見に映る自分のあまりの破廉恥さに思わず赤面してしまったほどだった。
 そして着替えてからしばらくは部屋から出られなかったが、ロバートに呼ばれて仕方なく出てきたものの、階段を下りる時ですらスカートの中が見えてしまうのではないかと心配で、ロバートよりあとに下りられなかった。
 ノアとロイがせっかくデザインしてくれたメイド服ではあるが、ガーターベルトも露わな脚の心許なさといったら他にはない。
 しかもノアとロイの命令で常に下着は着けていないので、少しでも屈んだら下肢が見えてしまうのではないかと気が気ではなくて、先ほどからスカートの裾を押さえては後ろを振り返ったり、もじもじと脚を摺り合わせたりして、少しも落ち着けないのだった。
「ロバート、本当に変じゃない?」
「少しも変ではございません。僭越ではございますが、ノア様とロイ様より先に美しい脚線美を拝見できて至福です」
 別にロバートに褒められても嬉しくないのだが、即答されてしまっては自分の気にしすぎのようにも感じ、しかしやはり丈の短さが気になってそわそわと辺りを見まわした。
「こんな姿を他の誰かに見られたら……」
「主だった使用人は別棟の宿舎へ下がらせましたので、ご安心ください。あぁ、お二人が帰ってこられたようですね。ロレッタ様、先ほど練習したとおりにお出迎えください」
「は、はぃ……」

 車が近づいてくる音が聞こえてロレッタにも二人が帰宅したことがわかった。
 そして赤面しながらも先ほどロバートに教わった言葉を心の中で呟き、ノアとロイが帰ってくるのを待った。
 するとほどなくしてロバートが扉を開き、ノアとロイがいよいよ姿を現したのだが――。
「トリック・オア・トリート!」
 赤い首輪にとても太い鎖をネクタイのように着け、上半身裸でジャケットに黒い革のパンツ、そして白銀のオオカミの耳としっぽを着けたロイが勢いよく入り込んできた。
「え? あ……えぇっと、お帰りなさいませ、ご主人様っ!」
「うっわー! やっぱり僕らの想像どおりに可愛い!」
「きゃっ……!?」
 慌ててお辞儀をしてロバートに教わったとおりの挨拶をすると、オオカミ男に仮装したロイは大喜びでロレッタをギュッと抱きしめた。
「見てみて、ノア。ロティってば本当に僕らの理想のメイドに仮装してるよ」
「ロティにご主人様と呼ばれるのは悪くないな」
「ノアお兄様……」
 目の前が急に真っ暗になったかと思うと黒いマントを翻したノアは、同じく黒いフロックコートを着て、ニヤリと笑う。
 その口に鋭い牙が見えるところから、ノアはヴァンパイアの仮装をしているらしい。
「お二人共、格好いいですけれど、普段とあまり変わりません」
 ノアとロイの仮装を見て、ロレッタはベビーピンクの口唇を尖らせた。
 二人と比べてロレッタの衣装の奇抜さときたら、ノアとロイとせいぜいロバートくらいにしか見せられない格好だ。
「ヴァンパイアが一番俺らしいだろう」
「僕のオオカミ男も似合ってるし、ロティも可愛いメイドの仮装が似合ってるんだから別にいいじゃないか」
「で、でもこんなに短いスカートでメイドのお仕事はできませんっ!」
 精一杯の反論をしたものの、ノアとロイに笑われただけだった。
 それが悔しくて、真っ赤な顔でエメラルドグリーンの瞳を潤ませたが、そんなふうに拗ねてもノアとロイを喜ばせるだけだった。
「可愛いロティにメイドの仕事などさせるものか」
「でもその格好でモップ掛けしている姿は後ろから見てみたいかも」
「ロイお兄様っ!?」
「冗談だよ、冗談。それより今晩はハロウィンナイトだし、楽しく食事をしよう」
 慌ててスカートのお尻を押さえて睨んでみたものの、ロイは笑って誤魔化しつつロレッタの肩を抱き、そしてノアは腰を抱いてきた。
 そうしてダイニングルームへ向かうと、ハロウィンの晩餐を意識したのか黒いテーブルコーディネイトに、とても小さなジャック・オー・ランタンが各人のプレースマットに彩りを添えていた。
「まぁ、可愛らしい」
「ロティの機嫌が直ったところで食事を始めるか。ロバート」
「かしこまりました」
 一礼したロバートはまずシャンパンを開け、各人のグラスに注いでから調理室へと消えた。
 それを待って中央の席に座るノアがシャンパングラスを手にして、続いてロイとロレッタもグラスを手に持った。
「今宵のハロウィンナイトを祝して」
 ノアの言葉にシャンパングラスを軽く掲げ、ロレッタも少しだけシャンパンを口にしてみるととてもすっきりとした軽い飲み口だったこともあり、ノアとロイがグラスを空けるのに合わせて一緒に飲み干してしまった。
 お酒は得意ではないので途端に頬がほんのりと染まってしまったが、気分は良くてそれからロバートが運んできたカボチャがメインの食事にありついた。
 まずはオードブルに、カボチャの裏ごしをしたマッシュにキャビアが添えられたカナッペと、スモークサーモンにトリュフが添えられたカナッペが供された。
 それをノアとロイがシャンパンを飲みながら食べている間、ロレッタは会話に交ざりながら水で酔いを醒ましつつカナッペを食べた。
 甘いカボチャのマッシュにキャビアの塩気がとても合っていて、スモークサーモンのカナッペも舌が蕩けるほど絶品だった。
「もうすぐボトルが空くから、ロティももう一杯だけつき合ってくれ」
「わかりました」
「可愛いメイドさんには僕が注いであげる」
 酔い覚ましをしていたのにシャンパンを勧められるまま飲んでほろ酔いでいると、次にカボチャのポタージュが運ばれてきた。
 そして魚料理、肉料理と続いたが、どの皿にも蜘蛛の巣がソースで描いてあったり、添え物が蜘蛛の形に切ってあったりと料理長も工夫を凝らしてくれて、大満足のハロウィンディナーとなった。
「さて、次はいよいよデザートだな」
「ロティの手作りだからね。すっごく楽しみ」
「あまり期待しすぎないでください」
 シャンパンのせいもあるが二人に期待されているのがわかり、ロレッタは頬を染めた。
 するとほどなくして食後の紅茶と共に、デコレーションされたパンプキンパイとパンプキンプディングをロバートが運んできた。
「あ、可愛い。粉砂糖のジャック・オー・ランタンだ!」
「パンプキンプディングもラム酒のいい香りがするな」
 ノアとロイが褒めてくれたのが嬉しくて、ロレッタはにっこりと微笑んだ。
 これだけ喜んでもらえると、午前中から作り出して昼食を返上した甲斐があったというものだ。
「ロレッタ様の渾身の作はよくご鑑賞いただけましたでしょうか? それでは切り分けたいと思います」
「俺は両方共もらおうか」
「僕も。せっかくロティが作ってくれたし大きく切って」
「かしこまりました。ロレッタ様はいかがなさいますか?」
「……あ。ちょっと酔ってしまったので、私は味見する程度の大きさでお願いします」
 それぞれのリクエストを訊いたロバートが、ノアとロイにはパンプキンパイとパンプキンプディングを六分の一ずつ皿に盛り、ロレッタにはさらにそれを二等分した量のデザートを盛り、甘口のシャンパンボトルを新たに開けてノアとロイに注いでから下がっていった。
 そして新たに注がれたシャンパンを飲み始めたロイは、いいことを思いついたとばかりにダイニングテーブルに身をのり出した。
「せっかくのハロウィンだし、ちょっとしたゲームをしようよ」
「ゲームです、か……?」
 シャンパンに酔ってぼんやりしながらも訊き返すと、ロイは楽しげに笑いながらパンプキンプディングをスプーンに掬った。
「トリック・オア・トリートって言いながら好きな相手に自分のお菓子を差し出して、相手がお菓子を取るか悪戯されるのがいいか決めるんだ」
 そして最後に自分の皿のお菓子がなくなるか、質問をされてお菓子を食べきれなかった人が負けで、勝った人の言うことを聞くというゲームだとロイは言う。
「ほぅ、それはおもしろいな」
「ね、まさにハロウィンっぽい遊びだろ?」
 ノアはロイの提案した遊びにすっかり乗り気になっていたが、ロレッタはなんだか自分が不利な条件な気がして眉根を寄せた。
 なんといってもロレッタの皿にはノアとロイの半分しかデザートがないので、二人に集中攻撃を受けたら皿のお菓子があっという間になくなって負けてしまう。
 それに二人が差し出してきたお菓子を食べきれなくても負けてしまうし、とてもいやな予感がしてきた。
「なんだかずるいです。だったら量の少ない私にハンデをください」
「ただのゲームなんだからそんなに熱くならなくてもいいじゃないか。でもロティは特別に三回だけパスしてもいいよ」
「それなら……」
 なんだか巧く丸め込まれた感があったものの渋々とゲームの承諾をすると、ノアとロイはまだシャンパンを飲みつつロレッタを凝視めてくる。
 その視線になにか甘いものが含まれているような気がして、ロレッタは椅子に張りついた。
「それじゃ、最初は僕から行くね。ロティ、トリック・オア・トリート」
 先ほど掬ったパンプキンプディングを差し出しながらロイに言われて、やはりという気持ちになりながらも、ロレッタはダイニングテーブルに身をのり出してスプーンを口に運んだ。
 二人の為に作ったパンプキンプディングはラム酒の香りがふくよかで自分でも納得のいく出来だったが、カボチャをベースにしているおかげでひと口でもかなり重い。
「つ、次は私がやります! ノアお兄様、トリック・オア・トリート」
 このまま食べ続けいたらすぐにお腹がいっぱいになりそうで、慌てて次の順番を買って出てノアにパンプキンパイをほんの少しだけフォークで切り分けて差し出した。
「なんだ。ほんの欠片だけじゃないか」
「これは頭脳戦だからいいんです。トリック・オア・トリート?」
 爪ほどの大きさのパンプキンパイを出して笑われてしまったが、ノアはそれを余裕で食べて僅かに微笑んだ。
「美味いな。ロティに食べさせてもらったことで余計に美味く感じた」
「……本当はもっと食べていただきたいんですけど……」
「いや、ほんの少しでも愛を感じた。お礼に今度は俺からロティに食べさせよう。さぁ、トリック・オア・トリート?」
「う……」
 ノアにもロイにもたくさん味わってもらいたくて作ったのに、それからもロレッタは二人から集中攻撃を受けて、けっきょく一番食べたのはロレッタだった。
 それでも負ける訳にはいかなくて頑張っていたものの、パスは三回とも使い果たしてしまい、皿のデザートはなくなる一方だしお腹はいっぱいになってきたしで――。
「はい、ロティ。トリック・オア・トリート」
 特別に大きなピースのパンプキンパイをロイに差し出されたが、ロレッタはとうとう口を開けることができずに黙り込んだ。
「ロティ、もう降参? お菓子を食べなきゃ悪戯しちゃうよ?」
「ち、違います。悪戯するほうはお菓子をもらう側です」
「ロイの考えたゲームでは、お菓子を食べられないほうが悪戯をされるルールだからな。俺のからもロティにお菓子をあげよう」
 ノアもパンプキンプディングを差し出してきて、ロレッタは困り果ててエメラルドグリーンの瞳を潤ませた。
「お二人してずるいです。けっきょく私が負けるようになっているゲームじゃないですか」
 だいたいにして二人共お互いにはお菓子を食べさせ合うことはせずにロレッタにばかり食べさせていて、そのうえ悪戯をしようとするなんて酷いにもほどがある。
「それを了承したのはロティだろ? さぁ、どうする? 食べるか悪戯されるかどっち?」
「ロティ? 黙ってないでそろそろ俺達に悪戯されたいと言ったらどうだ?」
「うんとセクシーにね。僕らがその気になるように、ロティに悪戯してくださいって言って」
「そんな……!」
 二人が最初からそのつもりだったことがようやくわかって、ロレッタはただでさえ真っ赤な顔をさらに火照らせた。
 しかしノアもロイも寝室で見せる妖しくて甘い視線で凝視めてきて、もう食べさせるデザートも食べる余力もないロレッタは、仕方なく降参するしかなかった。
「……ロ、ロティに悪戯してくださぃ……」
「だめ。僕はセクシーにって言っただろ。せっかく丈の短いドレスを着てるんだから、椅子の背もたれに身体を預けてお尻をこちらに向けて言って」
「は、はぃ……」
 ロイの命令におずおずと従って椅子に右膝だけで乗り、背もたれに身体を預けると、自然とお尻を二人に向かって突き出すような格好になってしまった。
「ぁ……」
 心許ない気分で振り返ると、白く透けているパニエから、双丘が僅かに見えているのがわかり、ノアとロイの視線がそこへ集中していた。
 それを意識した途端に羞恥で顔と言わず全身をほんのりと染め上げたロレッタは、それでも甘い命令には逆らえず、お尻を突き出した格好で二人を凝視めた。
「ノアお兄様、ロイお兄様……どうかロティに悪戯してくださぃ……」
「そんなに短いスカートで誘うなんて悪い子だ」
「お尻をチラチラ見せて可愛いね。もっと膝を曲げてみせて」
「……っ…」
 もうこの格好だけでも充分に恥ずかしいのに、さらに膝を曲げたら秘所がきっと見えてしまう。
 そう思ってなかなか行動に移せずにいるとノアとロイは席を立ち、椅子にもたれかかるロレッタに左右から近づいてきた。
「約束を守れない悪い子には悪戯をしないとな」
「本当に。さぁ、どんな悪戯をしようかな?」
「きゃっ……!?」
 なにをされるのかわからなくてドキドキしているうちに、ノアが首筋に顔を埋めながら背後から抱きしめ、双つの乳房を揉みしだいてきた。
「あぁ、ノアお兄様……だめ、だめ……やめてくださぃ……」
「今の俺はヴァンパイアだ。ロティの生き血を求めて首筋を狙う……な?」
「あぁっ……!」
 耳許で甘いテノールが聞こえたかと思うと首筋に軽く歯を立てられて、ロレッタはぞくん、と肩を竦めた。
 その間もノアは首筋に痕が残るほど強く吸いつき、ドレス越しから双つの乳房を揉んでは、ぷっくりと尖り始めた乳首を指先でくりくりと刺激してくる。
「あぁん、だめ、だめぇ……んふ、ノアお兄様、もう悪戯したらいや……」
「ノアお兄様、じゃないだろう。ロティはメイドなのだから俺のことはご主人様と呼ぶんだ」
「そんな……ぁ、あぁっ……もうそんなにしたらだめぇ……!」
 長くて器用な指先が乳首を擦りたてる度に、上質なコットンの感触が響いてより感じてしまい、メイドの振りをする余裕もなくロレッタはいやいやと首を横に振りたてた。
「さぁ、呼んでみろ。それともこの淫らなメイドはご主人様に悪戯をされるのが好きなのか?」
「あっ……いや、やめて、ご主人様……もう悪戯しないでくださぃ……」
「フッ、そう言われると主人としては余計に悪戯したくなる」
「あ、いやぁん……! 言ったのに……いやって言ったのに……!」
 ノアはきっちりと留められたメイド服のボタンを、よっつほど外した。
 その途端に双つの乳房が、躍るようにまろび出てしまった。
 しかも白いエプロンのフリルの紐が乳房を強調するように押さえ込んでいて、ロレッタは自らのあまりの淫らな格好に目眩を起こしそうだった。
 しかしノアもロイも紺色のメイド服から弾み出たミルク色の乳房に、ため息ともつかない息をつく。
「ご主人様を挑発するような格好で誘っておきながら、悪戯をされて感じるとは淫らなメイドだな。これはお仕置きが必要だ」
「お、お仕置き……?」
 こんなに淫らなコスチュームの仮装を命じたのはノアとロイなのに、挑発しただなんて心外すぎる。
 しかしお仕置きという言葉に怯えて熱に潤んだ瞳で見上げると、ノアはニヤリと意地悪く笑い、首筋にまた噛みつきながら両の乳首をきゅうぅっと摘まみ上げた。

「いやあぁ……あ、あぁん! やめて、やめて……ご主人様、そんなにしたら私……」
 淡いピンク色の乳首は強く引っ張られただけで、少し濃い色に染まり始めた。
 その乳首を今度は優しく掠めるように擦られると堪らなく好くて、ロレッタは椅子の背もたれにギュッと掴まりながら背を仰け反らせた。
 それでもノアの指はどこまでもついてきて、色づきだした乳首を執拗に弄ってくる。
「あぁん、いや、いやぁ……やめてください、ご主人様ぁ……あっ、あン! そんなにしたらだめぇ!」
「フフ、ロティもすっかりメイドになりきって感じてるね。僕もそろそろ参加しようっと」
 それまでノアの愛撫に感じきって悶えていたロレッタを、シャンパンを飲みながら見物していたロイは、床に跪いたかと思うとスカートをぴらっと捲り上げた。
「あぁ、ご主人様にちょっと悪戯されただけで、もうこんなに濡れてたんだ?」
「あっ……ロイお兄様っ! やめ……やめて……見ちゃいやっ!」
「だめ。もう一人のご主人様としては、可愛いメイドの秘密も知っておかないとね?」
「……っ……いやぁ……!」
 両の親指で秘所を左右に開かれた途端に、愛蜜がとろりと糸を引いてたれていくのがわかり、ロレッタは羞恥に目をギュッと瞑った。
 その間もノアは乳房を揉みしだきながら首筋を噛み、そしてロイは慎ましやかに閉じていた秘裂を開ききり、蜜口をぺろぺろと舐めてきた。
「あはっ……あぁあぁ……んっ……んん……だめ、ロイお兄様ぁ……」
「……僕のこともご主人様って呼ばないと。それに今の僕はオオカミ男だからね。こうやって……ぺろぺろ舐めて愛情を示してるんだよ」
「あン、そんなぁ……あぁっ……あっ、あぁっ、あぁん……!」
 こうやってと言いながらロイはまるでミルクを舐める小犬のように、愛蜜を溢れさせる蜜口を舐めてくる。
「あぁ、やめて、やめて……ご主人様ぁ……」
 ぴちゃぴちゃと粘ついた音をたてながら、きゅっと閉じている蜜口の中まで舌を潜り込ませて舐められると、どうしようもなく感じてしまって腰が淫らに揺れてしまう。
 同時に双つの乳房も上下に揺れ、乳首を指先でノアにくりくりと擦られる度に、乳首と腰の奧から甘い疼きが湧き上がってきて、もうどうにかなりそうだった。
「あぁん、ご主人様ぁ……ぁ、あぁん……そんなに舐めたらいやです……」
「……どうして? ご主人様に奉仕させておいていやがるなんて悪いメイドだね。気持ちいいからもっとしてください、ご主人様って言うまでやめてあげない」
「そ、そんな……ぁ……」
 淫らすぎる命令に、ロレッタはエメラルドグリーンの瞳に涙を滲ませた。
 しかしその涙はノアによって舐め取られてしまい、命令をすぐに実行しないロレッタを懲らしめるように乳首をきゅうぅっと摘まみ上げられた。
 同時にロイが興奮に包皮から顔を出す秘玉をちゅるっと口の中へ吸い込み、ちゅうぅっと吸いついてくる。
「あぁっ……! いや、いやぁ……どちらのご主人様も、もう悪戯しないでください……っちゃう。もう達くの……そんなにしたらもう達っちゃいます……!」
 ぷっくりと膨らむ敏感で小さな粒を同時に刺激される快感は凄まじく、ロレッタは堪えきれずに淫らな言葉を口走った。
 するとノアとロイは息の合った調子で、さらに乳首と秘玉を指と舌先でころころと転がしてくる。
「あぁっ……だめ、本当にだめぇ……! そんなにしたら私もう……っ! ご主人様ぁ、もう許してくださぃ……私もう気持ちよくて達っちゃいます……!」
 ロイの命令とは少々違った言葉を口走りながら、達する予感に身体をぶるりと震わせて達くことを堪えているロレッタを褒めるように、ノアは首筋を噛みながら乳首を何度も何度も摘まみ、ロイは蜜口から秘玉に向かってぺろぺろと舐めては、秘玉をチュッと吸ってくる。
 それがあまりに気持ちよくてどうしていいのかわからなくなったロレッタは、髪を振り乱しながら椅子の背もたれにギュッと掴まって、達くことを堪えていたのだが――。
「命令だ。淫らに達く姿を俺達ご主人様に見せてみろ……」
 甘いテノールで囁いたノアの声にぞくん、と肩を竦めたロレッタは、乳首を摘まみ上げられ、ロイに蜜口へ指を根元まで埋められながら秘玉を思い切り吸われた瞬間、堪えきれずに達してしまった。
「いやぁあぁぁあん……! あっ……あ……っ!」
 腰をびくん、びくん、と大袈裟なほど淫らに跳ねさせながら快楽の極みを存分に味わい尽くし、ロイの指をきゅうぅっと奥まで誘うように締めつけながら、秘玉を吸われる度に小さな絶頂を何度も味わった。
 その度に四肢が強ばってしまい息すら止まるほどで、これ以上の鋭い快感にはもう耐えきれないと首を横にふるりと振った。
 そして全身をびくん、びくん、と痙攣させて息を弾ませていると、背後でトラウザーズを寛げる音が聞こえた。
 それでもまだどこか夢見心地でぼんやりしていると、ノアに腰を掬い上げるように掴まれてしまった。
「あ……」
 その時になって気がつけば、ロレッタは椅子の背もたれに掴まりながらお尻を高く掲げ、ノアに向かって差し出すような格好で立っていた。
「……ぁ……ご主人様……」
 そのあまりにも淫らなポーズに羞恥を感じたが、蜜口に灼熱の楔をひたりとあてがわれ、とろとろに蕩け切っている蜜口へ押し込むような仕草をされたら、すべてが飛んでしまった。
「ぁ……っ……あ……!」
 熱い塊が蜜口をゆっくりと押し開くように突き進んでくる感覚に、ロレッタは息を逃しながらも受け容れていった。
「フフ、ロティってばご主人様を美味しそうにしゃぶってるね。ひくひくさせてすっごく可愛い……」
「いやぁ……っ……あ……!」
 ノアをのみ込んでいく様子を跪いたロイがじっくり眺めているのがわかって、ロレッタはあまりの羞恥に中にいるノアを思わず締めつけてしまった。
「ロティ……ッ……」
「あっ……あぁんっ!」
 それにはさすがのノアも堪らなかったようで、息を凝らして最奥まで一気に突き上げられた。
 そして長い息をついたかと思うとノアはロレッタの腰を抱え直し、耳許に顔を寄せてきて――。
「本気にさせたな? 覚悟しておけ」
「そ、そんな……あっ、あぁっ……あ、あっ、あぁっ、あ……!」
 耳許で囁かれてぞくん、と肩を竦めている間にもノアは最奥をずくずくと突き上げてくる。
 張り出した先端で媚壁を捏ねられ、出ていく素振りを見せたかと思うと最奥まで一気に突き上げては擦りたてられ、そのあまりの烈しさに双つの乳房もふるふると上下に揺れるほどだった。
「あ、あんん……あっ、あぁ……」
 掴まっている椅子もガタガタと音をたてるほどの勢いで挑まれ、それ以上掴まっていることができなくなると、ロイが掴まっていた椅子に腰掛けてロレッタを前から支えた。
 そして目の前でふるふると揺れている乳房にチュッと吸いつき、ぷっくりと尖っている乳首を優しく撫でではクスッと笑う。
「ものすごく好いって顔してる。そんなにご主人様は好い?」
「あン……んっ……ぁ……あぁ……ぃ、好い……好いです……」
「だったらご主人様にどうすると気持ちいいのか教えないと。ロティはどうされると感じちゃうの?」
「あぁん、そんな……」
 そんな淫らなことは言えないと首を横に振ってみたがロイは許してくれずに、お仕置きとばかりに乳首をきゅうぅっと摘まんでくる。
 それをされると媚壁がひくひくっと反応してしまい、ノアをもっと奥へと誘うように吸いつく仕草をしてさらに烈しく穿たれる。
「いやぁん……あっ、あぁ、あっ、あ、あ……!」
「いや、じゃわからないよ。ロティが教えたらご主人様はもっと気持ちよくしてくれるよ。ほら、どこがどう感じるのか言ってごらん」
「んんっ……ぁ……ご、ご主人様が奥をずん、ずんってするのが好ぃの……あっ、あぁっ、それぇ……!」
 恥ずかしいのを堪えて言った途端にノアが最奥をずん、ずんと突いてきて、先端をじっくりと擦りつけてくる。
 それが堪らなく好くてロレッタは身体をぶるりと震わせて、目の前で楽しげに笑うロイの首に抱きついた。
「フフ、ロティの乳房で窒息しそう……でも柔らかくて気持ちいいかも……」
「あぁん! そんな……二人してだめぇ……!」
 ロイに乳首をぺろぺろ舐められながら後ろからノアに隘路を穿たれると、その度に鋭敏に反応してしまい、媚壁がひくり、ひくり、と蠢いてはノアをせつなく締めつける。
「……ロティ……ッ……」
 それが好いのか息を凝らしてさらに嵩を増したノアが、中でびくびくっと跳ねるのがわかった。
 そしてまた腰を抱き直されたかと思うと、ギリギリまで引き抜く素振りをしたノアは、今度は浅い場所をくちゅくちゅと音をたてて小刻みに穿ってくる。
「くちゅくちゅってすごく淫らな音が聞こえるね。ロティ、この音はなに?」
「ぃや……いやぁ……言えません……あぁん、あ、あぁ、あっ、あっ……」
 ただでさえノアの律動を心地好く感じているのに、そのうえロイに言葉でも追い詰められると身体が燃え上がるほど感じてしまう。
「だめだよ、ロティ。ちゃんと言わないメイドにはお仕置きだよ」
「ぁ……んんっ……あっ、あぁっ! そんなにいっぱいだめぇ……!」
 ノアにずくずくと突き上げられるのに合わせて、ロイが乳首を何度も何度も摘まんでくる。
 同時に与えられる愛撫にどうしようもなく感じてしまって、ロレッタはノアをもっと奥へと誘う素振りをしながら堪らずにロイに抱きついた。
「フフ、ロティを通してノアがどんなに好い思いをしてるか伝わってくる……僕も早くロティのとろとろに蕩けてる中へ入りたいな」
「んやぁ……あっ、あぁ、あっ、あっ、あぁ……!」
 ロイに恥ずかしいことを言われる度にノアをきゅうぅっと締めつけてしまい、その狭い中を衰えを知らぬ灼熱が擦り上げていく。
 そして最奥を何度も何度もつつかれるのが好くて、ロイの首に抱きついて息を弾ませていると、ロイに口唇を奪われた。
「んふ……っ……ん……」
 いきなりの情熱的なフレンチキスだったが、ロレッタはそれに応えて舌を絡めた。
 柔らかな舌と舌を絡め合ってはお互いに想いの丈を伝え合うようなキスをしている間も、ノアにずん、ずん、と最奥を穿たれると、口腔も腰の奧も甘く疼くような感覚が襲ってきて、どちらも気持ちよくなってしまって――。
「あは……っ……ん……んんっ……」
 上からも下からもちゅ、くちゅ、と淫らな水音がたつ。
 同時に愛撫をされると頭の中が真っ白になってしまうほど感じてしまって、ノアとロイがくれる快楽を享受していたのだが、媚壁がノアを何度も何度も吸い込むように蠢くようになると、背後にいるノアが息を凝らした。
「ロティ……ッ……」
「あぁぁあ……! あっ、あぁ、あ、あっ……!」
 腰を強く掴まれたかと思うと、今までよりもさらに烈しく最奥をずくずくと穿たれる。
 蜜壺と化した隘路を逞しいノアが擦り上げるように突き上げていく感覚が堪らなく好くて、ロレッタはついキスを振り解いて猥りがましい悲鳴をあげてしまった。
 その声に煽られたようにノアは言葉もなく、ロレッタを快楽の極みへ誘うように突き上げる速度を上げた。
「あぁん、あん、ノアお兄様ぁ……ぃく……達っちゃう……ロティもう達っちゃう……!」
「フフ、ロティってばそんなに気持ちいいの?」
「あんん……ぃい……好いの……好いです……あぁん! もう本当にだめぇ……!」
 達する許可をもらえずに、達くことを必死で我慢している身体がぶるるっと震える。
 そんなロレッタを愛おしげに眺めていたロイは、目の前で揺れる双つの乳房を揉みしだきながらロレッタの耳朶に顔を寄せた。
「いいよ、思い切り淫らに達ってみせて」
「あは……ぁん……ん、んふ……っ……あっ、やっ、やあぁぁあぁあぁ……!」
 ようやく許可をもらえてノアに最奥をじっくりと擦られた瞬間、ロレッタはノアを思い切り締めつけながら達してしまった。
 そして達しても尚ひくん、ひくん、と締めつけるのが好いのか、ノアも胴震いをしながらロレッタの最奥に熱い飛沫を迸らせた。
「あぁ……っ……あ……! あっ……!」
 最後の一滴まで搾り取るような仕草をするロレッタに、ノアは腰を何度か打ち付けてその度に白濁を浴びせてくる。
 それにも感じて腰をびくん、びくん、と大袈裟なほど跳ねさせた。
「あ……ん……んふ……」
「……まずはこれで勘弁してやろう」
「ぁ、ん……」
 それからしばらくして満足したらしいノアが抜け出ていくのに合わせて、ロレッタも腰が砕けたようにその場に座り込みそうになったのだが――。
「おっと。どうせ座るなら僕の上にね。淫らなメイドが胸を押しつけて誘ってくるから、僕ももうこんなだよ……」
「あんん……っ……」
 椅子に座っているロイに抱き寄せられたかと思うと、まだひくひくと収縮を繰り返している蜜口に、熱い先端を押しつけられた。
「自分で開いて入れてみて」
「あ、ん……っ……」
 ロイの甘い命令に逆らえず、ロレッタは自らの秘所へ手をやった。
「あん、こんな……」
 ロイに跨がるように座り込んだ格好で、ぱっくりと開いた秘裂を指先でさらに押し開いてみたが、ノアに散らされた蜜口からは愛蜜がとめどなく溢れ、ロレッタの指をしとどに濡らすほどだった。
「こんなに……なに? 自分がこれほど濡らして待ち焦がれてると思わなかった?」
 ロイにクスクスと笑いながら図星をさされ、ロレッタは羞恥に頬を火照らせながらも腰を落としていく。
「ぁ……っ……あ……」
「素敵だよ、ロティ……自分から僕をどんどんのみ込んでいって……」
「いやぁん……!」

 搾り取られそう、と呟いたロイはいったん息をつくと、ギュッと抱きつくロレッタの髪にチュッとキスをして身体をゆさりと揺らした。
 それだけで最奥まであっさりとのみ込んでしまったロレッタは、四肢まで痺れるほどの甘い疼きにうっとりとした。
 それでもずくりと突き上げられた拍子に快美な刺激が走り抜け、ますますロイに抱きつく。
「愛されてる感じがしてすごく好い……僕を美味しそうにしゃぶって、そんなに僕のこれは好い?」
「あぁん……いや、訊いちゃいや……」
 身体が上下するほど揺さぶられながら恥ずかしいことを質問されると、それだけですっかりほぐれている媚壁がロイをせつなく締めつけてしまう。
 その狭くなった中をずくずくと擦り上げられると媚壁がさらに締まってしまい、中にいるロイをもっと奥へと誘う仕草をする。
「フフ、積極的だね。負けてられないや……」
「あぁん! あっ、あぁ……あん、んっ……あっ、あっ……!」
 ずちゃくちゃと粘ついた音がするほど烈しく抜き挿しをされて、ロレッタは堪らずにいやいやと首を振ってロイにギュッと抱きついた。
「だめ、だめぇ……そんなにしたらだめぇ……!」
「すぐ達っちゃいそう?」
 ゆったりとした律動に切り替えながら訊かれて、ロレッタは恥ずかしいのを堪えて頷いた。
 先ほどノアに達かされたばかりの身体は敏感になりすぎていて、少しでも本気で挑まれたらあっという間に達ってしまいそうなのだ。
「挿れてすぐ達っちゃいそうだなんて、敏感なメイドだね。僕一人で楽しんでたら悪いから、もう一人のご主人様にもよく見てもらおう」
「え……あぁん!」
 いったん引き抜かれたかと思うとノアとロイに身体を持ち上げられて、気がつけばロイに背中を預けて貫かれた格好でノアと向き合う形にされていた。
「これはまたいい眺めだ。ロイを頬張っている姿がよく見える」
「いやぁん……見ちゃいやぁ……!」
 短すぎるスカートはぱっくりと開いてロイをのみ込む秘所を隠してはくれず、シャンパンを手にしたノアにひくひくと収縮を繰り返す蜜口の様子をじっくりと眺められた。
「本当に僕らのメイドは見られてするのが大好きだよね。わかる? すっごくひくひくして僕を締めつけてるのが……」
「やぁん……違うの。ご主人様達のせいだもの……」
 淫らな目つきでロレッタの乱れる様子をじっくりと凝視めてくるからだと主張したが、ノアもロイもクスクス笑うばかりで。
「僕らのせいじゃないだろ、淫らなロティ。こうやってノアに見られながら僕に貫かれるのが本当は大好きなんだよね?」
「ぃ、いやぁん……! そんなにしたらだめぇ……!」
 膝裏を掬うように持ち上げられてしまい、秘所をさらに開かれながらずくずくと突き上げられた。
 その途端に甘い疼きが腰の奧から湧き上がってきて、媚壁がしっとりとロイに絡みついた。
 そして烈しい抜き挿しを繰り出されると、くちゃくちゃと呆れるほど淫らな音がたってしまって――。
「ほらね……恥ずかしい場所を見られながらするのが大好きなくせに。いやならこんなに濡れないのに、僕らの可愛いメイドはなんでこんなに淫らな音がするほど濡れてるんだろうね?」
「い、いやぁ……ごめんなさい、もう言わないからご主人様も変なこと言わないで……」
 あまりの羞恥にエメラルドグリーンの瞳を潤ませて謝ると、ロイは目を細めて髪にチュッとキスをした。
「ならばご主人様、気持ちいいからロティをもっとめちゃくちゃにしてっておねだりしてごらん。そうしたら許してあげる」
「そ、そんな……ぁ……」
 双つの乳房を出し、秘所にロイをのみ込んだ姿で淫らにねだる自分を想像しただけで、蜜口がきゅうぅっと締まってしまった。 
 それが好かったのかロイはゆさりと揺さぶってきて、最奥をずくずくとつついてくる。
「あっ、あぁん……あっ、あ、あっ、あ……!」
「ほら、早く言わないとお仕置きだよ……」
 ただでさえ気持ちいいのに、これ以上お仕置きをされたら自分がどうなってしまうのかわからない。
 しかしまだ羞恥が残っていて言えずにいると、ノアがシャンパンを片手に床に跪くのが見えて、ロレッタは脚をびくりと跳ね上げた。
「言ってみろ。言わなければお仕置きだぞ」
 ロイと繋がっている箇所を指先でそっと撫でられて、ノアが本気でお仕置きをするつもりなのがわかり、ロレッタはロイに揺さぶられながらも覚悟を決めて口を開く。
「あんん……ご、ご主人様ぁ……ロティをもっとめちゃくちゃにして……ロティをもっともっと気持ちよくしてぇ……!」
 淫らにねだった途端に媚壁が収縮を繰り返し、ロイを含んだまま達してしまいそうになった。
 しかし堪えて身体を震わせていると、ロイが耳許でクスッと笑う。
「フフ、言っただけで気持ちよくなって悪いメイドだね。やっぱりお仕置きが必要、かな? ねぇ、ノア?」
「あぁ、そうだな」
「そんな……! 言ったのに……あぁん、言ったのに……!」
 ずくずくと抜き挿しをされながらも抗議をするように言ったが、二人はすっかりそのつもりらしい。
 あまりのことに戸惑いながらも喘いでいると、ノアがシャンパングラスに指を浸すのが見えた。
 そして濡れた指で興奮にぷっくりと膨らむ秘玉をそっと転がしてきたのだが、シャンパンのアルコールが秘玉に触れた途端にスッと蒸発した感じがした。
「あぁっ……!」
 しかもアルコールは蒸発したように感じたのに、次の瞬間にはカーッと熱くなり、まるで秘玉が脈動して敏感になった感覚がした。
「いやぁん……あぁん! あっ、あぁ、熱い……」
「それが好いだろう?」
「あぁん、あっ……あぁ……!」
 ロイがずん、ずん、と穿ってくるのに合わせて、ノアが秘玉をころころと転がしてくるともう堪らなかった。
 本当にどうにかなってしまいそうなほど感じてしまい、ロレッタは髪を振り乱して喘いでいたのだが、お仕置きはそれだけでは終わらなかった。
「そんなにシャンパンが気に入ったのなら飲ませてやろう」
「あん、んん……あ、あっ……あっ!? い、いやぁあん……!」
 ノアは不穏なことを言ったかと思うと、シャンパングラスを傾けて秘玉へシャンパンをかけてきて、ロレッタはあまりの刺激に猥りがましい悲鳴をあげてしまった。
「あ、あぁ……!」
 秘玉に触れたシャンパンはパチパチと細かな気泡が弾ける度に敏感になりすぎている秘玉を刺激していき、その刺激を陰唇にも伝え、ロイが烈しく出入りしている蜜口でも気泡を弾けさせる。
「どうだ、最高の味わいだろう?」
「あんん……熱い……熱いの……あっ、あぁっ、あっ、あぁん……!」
 ちゃぷちゃぷと音がたつほど濡れそぼつ秘所は、すっかり酔いがまわって熱くなる一方で、ノアに秘玉をくりくりと弄られながらロイに烈しく身体を揺さぶられると、本当にどうにかなってしまいそうなほど感じてしまう。
「あぁん、あっ、あぁ……あ、あっ、あぁ、あっ……!」
 もう喘ぐことしかできないほど感じきったロレッタは、ロイをきゅうきゅうと締めつけながら背を仰け反らせ、秘玉や蜜口を刺激してくるノアの指淫に酔いしれた。
「……堪らないな……ロティの中が吸いついて持ってかれそう……」
 秘玉をじっくりと弄られながら、うねるように動く媚壁を擦り上げては最奥をつつかれるのが堪らなく好くて、ロレッタは甘美な刺激に四肢を強ばらせた。
「んふ……あ、あぁん、あっ、あぁ……ノアお兄様、ロイお兄様ぁ。達っちゃう……私もう……っちゃう……!」
「いいよ、うんと淫らに達って。僕もロレッタが堪らなく締めつけてくるから……」
 息を凝らしたロイに優しく促されたかと思うと、あとは言葉もなく最奥を何度も何度も穿たれた。
 その間にノアもロレッタを極上の快楽へ導くように、昂奮に尖る秘玉を口の中へちゅるっと吸い込んで、舌先でざらりと舐めてきて、それを感じた途端に堪えきれずにロレッタは身体をぶるりと震わせた。
 そして――。
「あはっ……ぁ、やっ、あぁ……っ……あ、いっやぁあぁぁあん……!」
 張り出した先端で最奥をつつかれながら秘玉をジュッと舐められた瞬間に達してしまい、ロイを思い切り締めつけた。
「ロティ……ッ……」
 もっと奥へと誘うように媚壁がロイをせつなく締めつけるのが好かったのか、それからすぐにロイもロレッタの中で遂げて熱い飛沫を浴びせてきた。
 そしてぶるりと胴震いをしたかと思うと腰を何度か打ち付けては、断続的に白濁を浴びせてきて、すべてを出し尽くしたところで中から抜け出ていった。
「あんん……っ……」
 それにも感じてぞくん、と肩を竦めていると、ロイが頬にチュッチュッとバードキスをしてきた。
「んふ……」
 そのキスが優しくてうっとりとしていると、ノアも身体を起こして口唇にチュッとキスをしてくる。
 それに応えてふんわりと微笑むと、ノアは正面から、ロイは背後からロレッタをギュッと抱きしめてきた。
「愛しているよ、俺達のロティ」
「もうロティなしでは生きられないよ」
 終わったあとは必ず惜しみない愛を囁いてくれる二人の言葉が嬉しくて、ロレッタもロイに身体を預けながらノアに抱きついた。
「私もノアお兄様とロイお兄様が世界で一番大好き。だからどうかいつまでも愛してくださいね?」
 他の誰も信用できなくなったロレッタの瞳には、もうノアとロイしか映らない。
 三人で盲目的な愛を与え合う歪んだ関係かもしれないが、三人にとってはとても理想的な愛の形だった。
「もちろん永遠に愛するつもりだ」
「愛してるよ、僕らのロティ」
 ロレッタの告白に満足したのか、ノアもロイもロレッタの頬にまたチュッとバードキスをして、しばらくはギュッと抱きしめてくれていたのだが――。
「さぁ、ハロウィンナイトはこれからだ」
「だね。続きは部屋で朝まで、ね?」
「え……」
 一回きりではあるものの濃厚な交歓をしたというのに、まだ足りないとばかりに二人に凝視められ、ロレッタは顔を真っ赤に染め上げた。
「あの、あの……わかりましたけど、部屋に戻ったらもうメイド服は脱いでもいいですか?」
 このコスチュームを着ていると、なんだかいつもより二人が盛り上がっているような気がして提案したものの、二人は顔を見合わせてからロレッタを見下ろしてくる。
「せっかくのハロウィンだ。その格好のままで愛し合おう」
「ロティもなんだかんだ言ってご主人様ごっこが気に入っているみたいだしね?」
「き、気に入ってませんっ!」
 それは確かに二人がいつになく威圧的に責めてきて感じてしまった部分もあるにはあったが、それではまるで変わったコスチュームで悦んでいると思われているようで心外だ。
 だから即答したというのに、二人は聞こえていないとばかりにロレッタの手を引いて立ち上がらせると、ノアが腰をロイが肩を抱きしめてくる。
「細かいことなんか気にしないで楽しもうよ」
「ロイの言うとおりだ。シャンパンもまだ残っているしな?」
 明るく言ってくるロイと、思わせぶりな視線を向けてくるノアに赤面したものの、ロレッタも乱れたメイド服を整えて二人に抱きついた。
「……あまりいじめないでくださいね?」
 首を傾げて言うロレッタを凝視めていたノアとロイは、無言でロレッタの頭を撫でてきた。
「ノアお兄様? ロイお兄様?」
「いじめるなんてとんでもない。特別な夜を一緒に過ごそうね」
「今夜はなんといってもハロウィンナイトだしな」
「ノアお兄様、ロイお兄様、大好き! トリック・オア・トリート!」
 二人の言葉にロレッタはにっこりと微笑み、自ら進んで二人の頬にお菓子よりも甘くて蕩けるようなキスをして身体を預けていたが――。
 ロレッタが幸せそうにうっとりとしている頭上で、ノアとロイはいかにも妖しげにニヤリと笑う。
 甘くお菓子のようなキスをもらっておきながらも、二人はロレッタがあまりの快楽に泣くまで、まだまだ悪戯を仕掛けるつもりなのは言うまでもなかったのだった。


     終

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