ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

堕ちる花嫁と二人の夫

堕ちる花嫁と二人の夫

著者:
葉月エリカ
イラスト:
ウエハラ蜂
発売日:
2021年08月03日
定価:
770円(10%税込)
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ずっとこうして、二人で可愛がってあげよう。

幼馴染であり、侯爵家の嫡男でもあるエラルドに嫁いだルチア。穏やかな結婚生活を送っていたが、エラルドは医師として戦地へ赴き帰らぬ人となってしまう。壊れそうなルチアを支えたのは、亡き夫の異母弟であるグレンだった。積年の恋心をぶつけられ、エラルドの遺言も見せられたルチアは、茫然自失のままグレンの荒々しい愛を受け入れる。だがそこへ、死んだはずのエラルドが戻ってくる。どこか変わってしまった彼に、驚きの提案をされて――?

柔和で策士な兄と不愛想で一途な弟。“二人の夫”の愛欲に、純真な令嬢は翻弄されて……。

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登場人物紹介

ルチア

ルチア

幼馴染のエラルドとグレンには、兄弟に対するような愛情を覚えていた。エラルドと結婚して三人の関係に変化が…?

エラルド

エラルド

ルチアの一番目の夫で侯爵家の嫡男。柔和で領民たちからの信望も厚い。軍医として戦場に赴くが捕虜になってしまう。

グレン

グレン

ルチアの二番目の夫で侯爵家の次男。エラルドとは異母兄弟。昔からルチアを好きだったが立場上口に出せずにいた。

お試し読み

「本当に、ルチアには指一本触れないな?」
「もちろん。なんなら縄ででも縛りつけておく?」
 まともに話せる状態ではないルチアを置き去りに、兄弟の間で合意が得られていく。
 このままここにいては、とんでもないことになりそうだった。
 ふらつく脚で逃げ出そうとしたルチアを、グレンが横から抱きすくめた。
「グレン……!?」
「これは……応急処置だ。そうだ。ただ、それだけの……」
 ルチアの火照りが伝染ったかのように、彼の体温も高かった。必死に押しやろうとするが、冗談のように腕に力が入らない。
「こういうのは考える間を置かないほうがいいんだよ。よかったらこの奥を使う?」
 エラルドが開け放ったのは、寝室に続く扉だった。かつては、彼とルチアが何度となく睦み合っていた場所だ。
 グレンは逡巡の気配を浮かべたが、今から自分たちの寝間に移動すれば、使用人に異変を気づかれると思ったのかもしれない。
 もがくルチアを横抱きにし、奥の部屋へと足を踏み入れた。
「やめて、グレン……いや……!」
 訴えも虚しく、エラルドが内側から寝室の鍵をかけてしまう。これで万一助けを求める声が届いても、外から開けることはできなくなった。
 久しぶりの空間は、以前と何も変わりないように見えた。独り寝には広すぎる寝台に置かれた枕が、ふたつからひとつになっているくらいだ。
 初花を散らしたその場所に、ルチアはグレンの手で横たえられた。
 肩を押さえつけられ、のしかかられると、ぎしっ……と寝台が軋んだ。
「やっぱり、お前は俺をそういう目で見るんだな」
 グレンが悲しそうに呟いた。
 ルチアの顔色は真っ白で、異様な状況に置かれた恐怖に歯の根が合わなくなっていた。
 眦に滲む涙を、せめてもの贖罪のように吸い取ったあと、グレンの唇はルチアの冷えたそれに重ねられた。
 舌を差し入れられ、口の中の粘膜をくまなく舐られる。軟体動物に似た舌はぴちゃぴちゃと音を立てながら、ルチアの喉奥までを蹂躙した。
「ん……んん、っ……!」
 夢中で首を振り、どうにかキスから逃れた途端、肘掛け椅子に座るエラルドと目が合った。
「僕のことは気にしないでいいよ」
 身を強張らせるルチアに、エラルドが言った。
 椅子に深く腰かけ、手袋を嵌めた両手を体の前で組む恰好は、寛いで音楽に聴き入ってでもいるかのようだ。
「いや……無理……」
「我慢してくれ。こんなことは本意じゃないが、お前もこのままじゃつらいはずだ」
 グレンは怯えるルチアを組み敷き、せわしなくドレスの前を開いた。仰向けになっても愛らしい輪郭を保つ乳房が、大きな手に包まれる。
 強く、弱く、力具合を変えながら揉まれていると、意に反した甘い感覚が込み上げてきた。
「あっ……あぁあ、……!」
 洩れてしまう声を抑えなければと、歯を食いしばる。
 頑ななルチアを攻略しようとするかのように、グレンは先端の突起を捉えた。
 指の腹を強めに押しつけたまま、くりくりと円く転がされる。ルチアがそうされると弱いことを、彼はすでに知っている。
「んっ、あぁぁぁ……っ」
 両乳首をいたぶられて感じるルチアを、エラルドがじっと眺めていた。彼の存在を忘れてしまいたいのに、どうしたって意識せずにはいられない。
「やぁんっ……あっ、そこ嫌、いやぁ……!」
 肌に汗を浮かせ、腰を揺すり、両胸を突き出すように悶えていると、
「なんだか前よりも敏感じゃないか?」
 グレンが不審げに言った。
「もしかして、エラルドに見られながらのほうが感じるのか」
「そん、な……ああぅっ……!」
 否定しようとしたが、抓るように乳首を絞られ、結局は嬌声をあげてしまう。
 表情をなくしたグレンが膝裏に手をかけ、ぐっと高く持ち上げた。腰を支点にふたつ折りとなった恰好で、ルチアの大事な場所が彼の顔前に晒される。
「待っ……!」
 何をされるのかを察し、ルチアの声が引き攣った。
 案の定、グレンは露になった股間に顔を伏せた。淫裂を舐め回されるぬちゅぬちゅという音が、誤魔化しようもなく部屋に響いた。
「ひ、ああ、ぃやあ!」
 グレンの指で包皮をめくられ、姿を見せた花芽に吸いつかれる。舌先で力強く弾かれれば、理性を吹き飛ばす電流めいた快感が走り抜けた。
 エラルドが「ふぅん」と呟いた。
「グレンにはそんなことも許すんだ? 僕がどれだけお願いしても、舐めさせてくれなかったのにね」
「ちが……違うの……!」
 これが初めてのことだし、自分から許してなどいない。
 弁解しようとするルチアに、エラルドはやんわりと言った。
「いいんだよ。ルチアが気持ちよくなれるなら、それが何よりだ」
「はぁ、ああっ……やぁ、いやぁあっ……!」
 二人の会話を遮るように、グレンが舌の動きを速めた。秘裂の狭間から蜜が溢れ、後ろのほうにまで伝っていく。
 膣口に舌をねじ込まれ、粘膜の襞を押し広げられて、ルチアは脚をばたつかせた。
「や、中……中は、だめぇ……!」
 熱い舌が割れ目をくちゅくちゅし、唾液と愛液が混ざり合う。尋常でなくいやらしい匂いが、きっとエラルドの鼻先にまで届いている。
「──すごく気持ちよさそうだ」
 エラルドがぽつりと言った。
 そこに潜む感情が、どんなものであるのかはわからない。
 ただ、彼は見る。見続けている。
 ルチアの恥ずかしい姿を、穴が空くほど一心に。
(嫌……こんなの嫌、なのに……)
 心と体の残酷な乖離に、ルチアはおかしくなりそうだった。
 すっかり全貌を現した淫核を、グレンの唇が挟んで扱きあげる。小さな肉芽から桁違いの喜悦が湧いて、ぶるぶると腰が戦慄いてしまう。
 グレンが下着を下ろし、濡れた肉洞に指を突き立てた。
 ぬかるみきったそこは、二本の指を容易く呑み込んだ。媚薬のせいでむず痒くてたまらないところに、ずりゅずりゅと出し入れされて、ルチアは絞め殺されるように叫んだ。
「だめ、だめ! ぁぁあ、いやあぁ……──!」
 下腹部に痙攣が起こり、何かが破裂する感覚とともに視界が明滅した。
 力の抜けた下肢から、大量の蜜が失禁のごとく垂れ流される。
 煮え滾った血の巡る音が、どっどっどっどっ──と耳の奥で鳴り響いていた。

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