ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

狼マフィアの正しい躾け方

狼マフィアの正しい躾け方

著者:
八巻にのは
イラスト:
辰巳仁
発売日:
2021年07月02日
定価:
814円(10%税込)
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しゃべるな可愛い! 俺をよしよししろ!

忌み子と蔑まれていた王女サフィーヤは祖父に騙され、慕っていた狼獣人リカルドに服従を強いる腕輪をつけ隷属させてしまう。戦争で国が滅び、離ればなれになった数年後。マフィアの首領となったリカルドは隷属から解放されるため、サフィーヤを探し出し殺そうとするが、なぜか「よしよし」をねだってしまい困惑する。憎悪を滾らせているのに、リカルドは彼女の世話を焼き、外敵から守らずにいられない。さらには抑えきれない衝動に囚われて――。

狼獣人マフィア×薄幸の(元)王女、絶対服従の枷を壊すまでは溺愛おあずけ!?

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登場人物紹介

サフィーヤ

サフィーヤ

忌み子と蔑まれていたアリアーナの元皇女。旅芸人一座に拾われ雑用係をしていたが交易都市カーゴに連れさられ……。

リカルド

リカルド

狼獣人、サルヴァトーレファミリーの首領。傭兵だった頃サフィーヤに魔法具で隷属させられ、激しく憎悪している。

お試し読み

「無理かどうか、やる前から決めつけんな」
 言うなり、リカルドを遠ざけようとした腕を頭の上で押さえつけられ、抵抗できなくされてしまう。
「それに、そろそろマーキングしてやりたかったんだ」
 サフィーヤの首筋を鼻先でくすぐったあと、リカルドは改めて首筋を舌で嘗め始めた。
「だめ……くすぐったい……」
 同じ言葉のはずなのに、先ほど主張したときと今とでは声の響きがまるで違う。
 自分のものとは思えない甘い声に驚いていると、リカルドがちゅっとサフィーヤの肌を吸い上げた。
「……ンッ、……!」
「ずいぶん、気持ちよさそうな声だな」
 鼻にかかった声がこぼれると、満足そうな声が耳元で響く。かと思えば、肉厚な舌が耳をくすぐり始め、サフィーヤの身体がそわそわと落ち着かなくなる。
 耳や首筋を舌が這い、リカルドの唾液が肌を濡らす。確かにそれは嘗めるという行為だったが、動物たちにされたものと同じだとは思えなかった。
(なぜだろう……。身体が、熱くなってくる……)
 くすぐったいだけでなく、身体の奥から熱と共に何かがあふれようとしている。
 それはとても落ち着かない感覚で、特に腰の奥からはむず痒さのようなものさえ感じる。
「そろそろ、くすぐったいだけじゃなくなってきただろ」
 サフィーヤの変化を察したように、リカルドがにやりと笑う。
 その顔には今まで見たことのない色香が漂い、彼女を見つめる眼差しには飢えた獣のような危うさが漂っている。
 このままでは嘗めるだけでなく、彼に喰らわれてしまうような気がした。
「お前は俺のだって、この舌でわからせてやる」
 なのにそう言って頬を嘗められると、もっとしてほしいと願ってしまう。
 気がつけば腕の拘束は解かれていたのに、彼を押し返すどころか側にあった彼の腕をサフィーヤはぎゅっと掴んでいた。
 それを同意と取ったのか、リカルドが夜着の胸の部分を乱暴に引き裂いた。ささやかな胸をあらわにされ、僅かに戸惑うが抵抗するよりはやく頂に噛みつかれる。
「……あっ、ッ……!」
 乱暴にされるかと思いきや、想像以上に優しくリカルドは乳首を吸い上げてくる。
 時折歯を立てられるが、痛みは感じない。
 サフィーヤの胸は発育が悪く子供のようだが、それでも女のものだ。舌で舐られ吸い上げられれば頂は色づき、熟れた果実のようにぷくりと膨らんでいく。
「こっちも実らせてやる」
 片方の胸が色づくと、今度はもう一方の胸を唇に含まれた。時間をかけ、じれったいほど優しく舌で転がされると、サフィーヤの口からは甘い吐息がこぼれ始める。
「……ここを嘗めたのは、俺だけか?」
 ひとしきり胸を甘く虐めた後、凜々しい顔が蕩けきったサフィーヤの顔を覗き込む。
「こんな、ところ……。自分でも、触りません……」
「人間の身体と舌じゃここを毛繕いするのは無理だろうからな」
 そもそも、これは毛繕いと言えるのだろうか。
 そんな疑問がわき上がるが、尋ねることはできなかった。
「今日は俺が、お前を綺麗にしてやる」
 そんな言葉と共に夜着の裾を裂かれ、あらわになった足にリカルドの舌が這う感触に、言うべき言葉は霧散する。
「だ……だめ、ッです……」
「でも、ここは人の舌じゃ届かねぇだろ」
「そ、そもそも……嘗めて綺麗にしたりしないから……」
 リカルドだって、人の姿のときはしないだろうと思うのだが、彼が舌を止めることはない。たぶん、腕輪のせいで考えが獣に寄ってしまっているのだろう。ためらいもなく足を持ち上げ、つま先をペロリと嘗められる。
「ひゃうっ……!」
 くすぐったさに身体が跳ねると、面白がるようにリカルドが目を細める。
「だめ……、きたない……」
「どこがだ。むしろ石けんの匂いがしすぎて、腹が立つほどだ」
「あ……、ん、嘗めちゃ……や……」
 細いふくらはぎを這う舌の感触に、小さな身体が淫らに跳ねる。
 足を嘗められるのはとても恥ずかしいのに、嫌がる言葉には覇気がない。むしろもっとしてほしいと願っているようにも聞こえ、誰よりもサフィーヤ自身が自分の反応に戸惑っていた。
 持ち上げられた足に唇を寄せるリカルドは普通ではない。普段の彼なら、サフィーヤに触れることすら嫌がるだろう。
 なのにうっとりとしたその表情を見ていると、やめてほしいとは言えなかった。赤い舌が肌をなぞるたび、彼女自身もそうされたいと願ってしまうからだ。
(身体を嘗められたいなんて……絶対変なのに……)
 普段は見られないリカルドの幸せそうな表情が、自分に向けられているのが嬉しかった。それに肌を這う舌からは、自分への愛おしさが強く伝わってくる。
「……こうやって、お前を嘗めていいのは俺だけだ。もう二度と、誰にも舌を許すな」
 独占欲と情欲が混じった双眸が、サフィーヤを甘く射貫く。
 それは腕輪がもたらすまやかしの感情だとわかっていても、自分を欲し独占しようとするリカルドの言葉と行動にどうしても喜んでしまう。
「おい、返事は?」
「……は、はい。誰にも嘗めさせません……」
「俺だけだな?」
「リカルド……リカルドだけ……」
 彼が望むから応えたのに、名前を呼んだ瞬間凜々しい顔が険しさを増す。
「ああくそ、お前に名前を呼ばれると……俺は……」
「いや……ですか……?」
「その逆だ。もっと、甘い声で呼ばせたくなる」
 普通に呼ぶのではだめなのだろうかと考えた直後、リカルドがサフィーヤの腰に腕を回した。そのまま身体を浮かせられたかと思えば、ぐっと足を広げられ恥ずかしい場所をさらす格好になる。
 その上彼は、一瞬の隙にサフィーヤの下着を勢いよく引き裂いてしまった。
「や……ッ、なんで……」
「甘い声で呼ばせると、そう言っただろう」
 それに……と、リカルドは戸惑い震える白い太ももをそっと嘗め上げた。
「すげぇ、いい匂いがする」
「匂い……?」
「サフィーヤの甘い香りがする」
 リカルドの金の瞳が、あらわになった花弁に注がれる。
「嘗める前から、濡れてるな」
「う、うそ……」
 まさか漏らしてしまったのだろうかと恥ずかしくなるが、確認したくとも身体を起こすことすら許されない。足を広げた状態で腰をぐっと押さえつけられ、濡れる場所にリカルドがそっと唇を近づける。
 その直後、ざらりとした舌が花弁を押し広げ、滲み始めた蜜をすくい上げた。
「……あっ、そん、な……ッ」
「ああ、やはり……甘い香りはここからだ……」
 股間に顔を埋めるようにして、舌で掻き出された蜜をじゅっと吸われる。その途端ビクンと腰がひときわ大きく跳ね、サフィーヤの全身を愉悦が駆け抜けた。
(これは、なに……?)
 シーツをぎゅっと握りしめ、初めての感覚に亜然とする。肌を嘗められていたときから、心地よさは感じていたが、こんなにも強い刺激は初めてだった。
 そしてそれが快楽であることさえ、彼女はわかっていなかった。
 この歳まで、サフィーヤは異性に触れられたことがなかった。性欲を覚えたこともなく、一人でしたこともない。
 一座にいたとき、時折男女が重なり合っているのを見たが、それはどれも酷く暴力的で苦痛を伴うものに見えた。だからその行為と、今リカルドにされていることが同じだと気づかなかった。
「なんで、こんな……ッ」
「こうされるのは、嫌か……?」
「わからない……ッ、何も……わからなくて……」
「なら俺が教えてやる。これは肌を重ね、気持ちよくなるための行為だ」
「きもち……よく……?」
「男と女がよくやることだ。だから俺が、お前を悦ばせてやる」
 男女というなら、少なくとも自分がされて問題はないのだろう。それにほっとしていると、リカルドの目が妖しく細められた。
「でもお前が身体を許していいのは俺だけだ」
 言うなり、リカルドの舌に愉悦を生み出す場所を暴かれる。
「あ……、ンッ、んっ……」
 無垢な身体は熱を帯び、赤く色づきながら、じわじわと快楽を覚え始める。
 それをもたらす舌は荒々しく花襞を抉り、さらなる蜜を掻き出していく。
「……いい顔だ。気持ちよくなってきたか?」
 サフィーヤの表情が蕩け始めたことに気づいたのか、リカルドが満足げに笑う。その唇を濡らしているのが自分の愛液だとわかると、恥ずかしさを覚える。
「汚して、ごめんな……さい……」
「汚れたなんて思っちゃいねえよ」
「でも、私……変、なんです……」
「気持ちよくねえか?」
「わからない……。こんなのはじめて……で……」
 たまらなく恥ずかしいのに心地よくて、でも苦しいほどの切なさもある。
 何もかもが初めて感じる感覚で、サフィーヤはまともにしゃべることもできない。
 彼女の戸惑いに気づいたのか、リカルドがほんの少しだけ不安そうに顔をしかめる。
「でも、嫌じゃねえだろ……?」
 質問に、思わず首を縦に振る。
(嫌じゃない……。こんなに恥ずかしいのに、むしろもっとしてほしい……)
 排泄する場所を嘗められて喜ぶなんて、自分はおかしいのかもしれない。そう思う一方、彼の舌をもっと感じたいと願ってしまうのだ。
 舌だけでなく、彼の大きな手で触れられたい。あの鋭い眼差しで射貫かれながら、心地よさに溺れてしまいたいとそんな気持ちさえあふれている。
「でも、リカルド……は?」
「俺だって嫌じゃねえよ。むしろ、ずっとこうしてやりたいと思ってた」
「……毛繕い、したかったんですか?」
「毛繕いだけじゃねえよ。お前に、俺を刻みつけたくてしかたねえ」
 刻みつけるとはどういうことか、サフィーヤにはわからない。
 もしかしたら痛いことかもしれないと思ったが、恐れよりもリカルドが望むならしてほしいという気持ちが強かった。
(でも、それは彼の本当の望み……なのかな……)
 刻みつけることが痛みを伴うものだとしても、きっとサフィーヤは喜んでしまう。
 けれどサフィーヤが喜ぶことを、果たしてリカルドの本心は望んでいるのだろうか。
 こうして嘗めることだって、彼にはものすごく嫌なことかもしれない。そんなことにいまさら気づき、大して抵抗もしてこなかったことを後悔する。
「おい、どうした……?」
 身体と表情を強ばらせたサフィーヤを見て、リカルドが僅かに慌てる。
「やっぱり、嫌だったのか?」
「嫌じゃないです。……でも、あなたは?」
「何度も言わせるな、俺だって嫌なわけねえだろ。お前にこうすることを夢見てきたのに」
 そんなわけがないと否定するつもりだったのに、サフィーヤを見つめる瞳はあまりに優しい。
「獣のように唇を貪り、人のように肌を重ねて愛したかった。俺がそう思う存在は、お前だけだ」
 それは愛の告白のようにも思え、サフィーヤは息を呑む。
 優しい声と顔でそんなことを言うなんて、やっぱりこれは彼の本心ではない。そうわかっていても、喜びのあまり目に涙が滲む。
「だから、俺の前で泣くなって言ってるだろ」
 苦笑を浮かべたリカルドに、甘く唇を奪われる。
「泣きやむまで、全身にキスしてやるからな」
「もっと、泣いてしまいそうです……」
「止められないなら、いっそ涙が涸れるまで泣くか?」
 それまで、何百回とキスをしてやると笑う顔にサフィーヤは自然と頷いていた。

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