せっかく死に戻ったのだから、ヤンデレマフィアの溺愛ルートだけは嫌なんですが
- 著者:
- 戸瀬つぐみ
- イラスト:
- アオイ冬子
- 発売日:
- 2026年02月05日
- 定価:
- 869円(10%税込)
諦めてただ受け入れろ。どうせもう逃げられない。
借金返済のため偽装結婚した夫とその愛人に毒殺されたルーチェは、気がつくと二年前に時が戻っていた。それは結婚前、悪辣なマフィアのドン、アルバーノが生家に踏み込んできた日だ。家の権利書を押さえた彼がルーチェの記憶どおりに現れるが、以前の乱暴な彼とは違い紳士的な口調でルーチェに手を差し伸べる。さらには借金をすべて肩代わりすると強引に結婚届を提出。ルーチェは少しずつアルバーノの優しさに触れ、回帰前と今の彼は違う――そう確信し身体を重ね、愛し合う悦びを感じたのだが――?
一途な悪党×薄幸の子爵令嬢、二度目の人生は最悪な結婚から逃れたはずなのに!?
ルーチェ
借金塗れの子爵家令嬢。優しい性格で騙されやすく一度目の人生で殺害された。粗暴なアルバーノを恐れていたが…?
アルバーノ
爵位を金で買ったと噂される伯爵家令息かつマフィアを仕切る若きドン。美しく冷徹で目的のためには手段を選ばない。
なにせ、ルーチェは騙されやすい。
優しくされたらどんな悪人だって好きになってしまうし、巧妙に本性を隠されたら見抜けない。
ただ欲望のはけ口にするために、戯れで恋愛を楽しんでいるだけなら、はっきりそう言ってほしかった。
彼の本心を知りたくて、ルーチェは探るようにじっと見つめた。
「あなたは……その、私のことが好きなのですか?」
「ほかの可能性を少しでも考えているなら、相当な阿呆だな」
言い方は酷いが、好きということでいいらしい。噓を言っているようには思えない。
ルーチェはさらなる確信を持ちたくて、矢継ぎ早に質問を繰り返す。
「いつ、どこで好きになったの? 私のどんなところが? ……もしかして、一目惚れですか?」
葬儀の翌日、抵当に入っている屋敷を確認しに来たアルバーノが、襲われそうになっていたルーチェを一目見て惚れてしまった。流れとしてはそれが一番しっくりくるのだ。
でも絶世の美女ではないだろう自分になぜ?
人の好みや性癖はそれぞれとはいえ、そこが不思議であり、自信が持てない要因だった。
たとえ騙すつもりはなかったとしても、なにかの間違いで一過性の熱に浮かされているだけではないかと、不安になってしまうのだ。
「一目で? ……とんでもない自惚れ屋だな」
小馬鹿にしたように、彼は笑う。
「だったらどうして?」
「確かに俺はお前に惚れている。だがこの感情は、そんな単純なものじゃない」
その一瞬、アルバーノの表情に怒りの感情が確かに宿った。
(どういうこと……?)
なにか悪いことをしてしまったのだろうか? それとも自分に対してではなく、借金を踏み倒して亡くなった父に対してのもの?
少なくとも、彼がルーチェにただ淡く甘いだけの恋心を抱いているわけではないと理解する。
むしろ憎いからこそ、自由にさせておけないと言われている気がした。
(そんなはずない。けど、懐中時計は……?)
一度目の人生で、彼はルーチェの懐中時計を破壊した。二度目の今回は、それをせずに修理までしてくれた。
結局、最初に発生したこの違いがずっとわからないままでいる。
一度目のときのように、ほんの些細ななにかがきっかけで、アルバーノとの今の関係は壊れてしまう可能性もあるのだ。
彼の中に潜む裏側の感情を垣間見て、悲しいと思った自分は、もう純粋に恋をしてしまっているのだと、自覚させられた。
ただ、愛し愛される存在にはなりたい……。
そう願ってしまうのは贅沢なのだろうか?
混乱するルーチェを逃がすまいと、アルバーノは手首を摑んでベッドに縫い留めてきた。
「俺を怖がるな。諦めて、ただ受け入れろ。どうせ、もう逃げられない」
身体が重ねられ、耳元で脅すように囁いてきた彼は、そのままルーチェの首筋に嚙みついてくる。
「ああっ……!」
まるで、獰猛な獣のよう。アルバーノは唸るように時折呼吸を荒げ、ルーチェの首に食らいつく。
痕が付いてしまうくらい歯を立てられているというのに、いつもと違うルーチェの身体は、痛みよりも甘い痺れを拾ってしまう。
この強い刺激から逃れようと身を捩ると、太腿のあたりになにか熱いものが当たった。
(硬い……)
これが、アルバーノの熱欲の塊なのか?
思わず触れてしまったことをきっかけに、彼はルーチェの首筋を嚙んだり舐めたりしながら、繰り返し腰を押し付けてくる。
女とは明らかに違う身体のつくりを、強制的に教えにきているのだ。
「……もっと乱れろ、ルーチェ」
「ぃやっ、待って……!」
弱々しい抵抗は、互いの興奮の材料となってしまう。
身に纏う絹の生地越しに、肌が擦れて新たな快感が発生している。
アルバーノはルーチェのナイトドレスの前のリボンを解いて、そのままずり下ろしてきた。
身体を締め付ける下着は着けていなかったから、簡単に胸がさらけ出されてしまう。
アルバーノは上に乗り、腰を挟み動きを封じた状態で、ルーチェの胸に触れてくる。
二つの膨らみは彼の大きな手にすっぽりと収められ、戯れの道具にされていた。
感触を確かめるよう、ゆっくりと揉みしだかれ、動きに合わせて形が変わっていく様子を見せつけられる。
最初は下乳を支えるようにしていたのに、その指先が、じわじわと先端に狙いを定めてきたことで、酷く追い詰められた気持ちになる。
「あぁっ、アルバーノ様……」
せつなくて、しかたない。
もっと滅茶苦茶にしてほしいと懇願してしまいたくなる。
今もアルバーノの下腹部にあるものは、寝衣越しでもわかるくらいはっきりと膨張していて、その熱の影響なのか、ルーチェも女の部分がきゅんと疼いた。
アルバーノが指先で、ルーチェの色づいた胸の輪あたりを弄ってくる。
先端に爪が当たると、感触がどんどんと変わっていく。胸の頂が硬くなりはじめているのだ。
彼の指がかすめていくたびに、抵抗が強くなる。そこから広がる痺れがたまらない。
繰り返し……そして執拗に、意地悪なアルバーノは、優しく触れるだけでなく爪を強く当ててくる。
「はじいたらっ……あっ」
「尖ってきている」
アルバーノの舌がちらりと覗く。いたずらを思いついたときのように、嬉々としてルーチェの胸にむしゃぶりついてきた。
「んっ……んっ! ああっ、気持ちいい……あんっ」
大きな艶声が出てしまい、ルーチェは慌てて口元を押さえる。
この屋敷の壁は厚いが、こんな大きな声を出したら、さすがに誰かに届いてしまうかもしれない。
片方の胸の先をくりくりと摘ままれ、もう片方を甘嚙みされ、心を落ち着ける暇を与えてもらえない。
身を捩って逃れようとしても、身体の大きなアルバーノの下ではどうすることもできない。
彼は舌先で、ルーチェの胸をツンと突くように弄って、挑発するように見せつけてくる。
小さな明かりだけが灯された部屋で、濡れて光る、すっかりいやらしくなってしまった胸が視界に入ってきてしまう。
「……んっ、こんなの、私じゃない」
硬さも、形も、感覚さえも、もう自分のものではない。息を吹きかけられただけで、ぶるりと身が震えてしまう。ちょっとした触れ合いさえ、過敏に拾い取ってしまう。
「そうだ。もう、この身体は俺のものになった。ここも……」
アルバーノは所有権を主張するよう、ルーチェの胸の柔らかい部分に強く吸い付いてきた。
