ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

3回婚約破棄された令嬢ですが、肉欲を禁じられた聖騎士様に迫られています

3回婚約破棄された令嬢ですが、肉欲を禁じられた聖騎士様に迫られています

著者:
春日部こみと
イラスト:
天路ゆうつづ
発売日:
2026年06月04日
定価:
880円(10%税込)
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大丈夫、私も裸だよ。恥ずかしくない

3回婚約破棄された侯爵令嬢ジェラルディンは、男に頼らず生きていくため王太子妃の女官になろうと考えていた。ところが初恋相手の聖騎士団長サミュエルにデートに誘われ、突然のプロポーズ! 彼は聖騎士のため結婚できないはずなのに「君が結婚してくれるなら引退する」と宣言。仕事に生きるつもりだったのに心が揺れるジェラルディン。そんな折、王主催の狐狩りで嵐に遭い狩猟小屋に二人取り残される。濡れた服を乾かすため「服を脱いで」と迫るサミュエルを受け入れ、ジェラルディンは彼に身を委ね――。
策士な聖騎士団長×結婚を諦めた侯爵令嬢、世界を敵に回してもあなたを手に入れる。

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登場人物紹介

ジェラルディン

ジェラルディン

生真面目な侯爵令嬢。婚約が3回も破談になり結婚に夢を見るのをやめた。かつてサミュエルに恋していたが……。

サミュエル

サミュエル

侯爵令息でもある聖騎士団長。傾国の美男子と呼ばれるほどの美貌を持つ。立場上結婚を許されていないが……。

お試し読み

「あなたの目って、すごくきれいだわ」
 心のままに感想を言うと、青い瞳が狭められた。
「嬉しいね。君に褒められるなら、この目で良かったと思うよ」
 そう言い終えた時、コルセットが完全に解けて、ずるりと腰の辺りに落ちる。サミュエルはそれを摑んで取り去ると、最後に残ったコットンのシュミーズの裾をウエストから引き抜いた。
「やはり、下着まで濡れているね」
「……土砂降りだったから……」
 ジャケットを着ていたけれど、あの豪雨では上着に留まらず、シュミーズまでしっかり雨が浸透してしまっていた。
 サミュエルの動きに合わせてシュミーズも脱ぎ去ると、濡れていた布がなくなったことで肌が粟立つ。急に寒さを感じてブルリと身を震わせると、大きな掌が慰めるように肩をさすってくれた。その手の温かさにホッとして、ジェラルディンは小さく吐息を漏らす。
「ありがとう……」
「可哀想に、寒かっただろう。早く下も脱いでしまおう」
 優しく言われて、ジェラルディンはブーツを脱ぎ、ロングスカートとドロワーズも取り去ると、生まれたままの姿になってサミュエルの腕の中に戻った。暖炉の前に敷いたマントの上で胡座を搔く彼の膝の上に座り、子供のように抱き寄せられる。お互いの肌と肌がピッタリとくっつくと、サミュエルの熱い体温が驚くほど心地好かった。
(あったかい……。人肌って、こんなに気持ちがいいのね……)
 初めて知る感覚にうっとりと目を閉じていると、唇に柔らかいものが押し当てられて、瞼を開く。するとすぐ目の前に精悍な美貌があって、彼にキスをされたのだとわかった。
 サミュエルはひどく優しい表情で、じっとこちらを見つめてくる。
「……なあに? そんなに見つめて……」
「きれいだなと思って」
 この世の美を集結させたかのような人からそんなことを言われて、いつもならどこか皮肉っぽい気持ちになるところなのに、今はただ嬉しいと思った。この男性は自分を愛しているのだという実感が、彼の言葉を素直に受け止めさせてくれたのだろうか。
「……ありがとう」
 自然に顔が綻び、言葉が口から零れ出る。
 サミュエルはわずかに瞠目して、それから嬉しそうに口元を緩めた。
「嬉しいな。私の言葉が、君にちゃんと伝わっているのを感じる」
「……今までは、ちゃんと伝わっていなかったということ?」
「私が君を褒めても、君はそれをお世辞だと思っているのだろうなと感じていたから」
 ジェラルディンは苦い笑みを浮かべる。その通りだったからだ。
「私、自信がなかったの。自分の容姿にも性格にも、能力にも。何一つ特別なものはないから、あなたに愛されるわけがないと思ってしまったの」
 そう答えると、サミュエルが困ったように眉を寄せたので、その眉間に寄った皺を消そうと指で撫でながら言い添えた。
「でも、心配しないで。今はもう違うから」
「……本当に?」
「ええ。あなたに愛されていると、もうちゃんとわかっている。私は、あなたを愛している自分を、信じると決めたから」
 思えば、ジェラルディンは出会った時からサミュエルが欲しかった。欲すると同時に、心の何処かで手に入れてはいけないのだと思ってきたのかもしれない。サミュエルが聖騎士になったのは、彼とジェラルディンが結ばれることを、神が許さなかったからだ──そう思ったことすらある。
諦めようとするのに、彼を求める気持ちを捨てきれなくて、ずっと苦しんできたのだ。
(でももう迷わない)
 ジェラルディンの決意に、サミュエルが信じられないという表情でポカンと口を開ける。
「どうしてそんなに驚いているの?」
「……初めて、君から愛していると言われた」
 そうだっただろうか、と首を捻って記憶を探り、言われてみればそうかもしれないと思った。
(それなら、ちゃんと言葉にすべきだわ)
 ジェラルディンは両手でサミュエルの頬を包むと、そっと引き寄せて囁く。
「あなたを愛しているわ、サミュエル。初めて会った時からずっと。私が欲しいと思ったのは、あなただけなの」
 自分の口からこれほどすんなり愛の言葉が出てくるなんて、不思議だった。〝愛している〟などという、自分を曝け出すような言葉は、自分にはとても言えないと思ってきたからだ。
 改めて言った愛の告白に、サミュエルは何かを堪えるようにグッと険しい顔をした。
 何か怒らせてしまっただろうか、と不安がよぎった次の瞬間、堰を切ったように唇を奪われた。顎を摑まれて顔を固定され、歯列を割って侵入してきた舌に荒々しく口の中を搔き回される。
「んっ、うぅ、んぅっ……!」
 分厚い舌で嵐のように舐られ、絡められて、息もできない。口を塞がれているので鼻声で呻いたが、サミュエルには聞こえていないようだ。覆い被さるような体勢でキスを続けられ、そのまま押し倒されて背中を床に付ける。ジェラルディンの顎を摑んでいたサミュエルの右手が、首をなぞって鎖骨を伝い、柔らかな乳房を鷲摑みにする。痛みを覚えるかと一瞬身構えたが、その手の動きは絶妙な力加減で痛くはない。パンの生地を捏ねるようにグニグニと動いた後、中央に乗った赤い尖りを指の間に挟まれた。
「んっ……!」
 その途端、強い快感が体に走って、ジェラルディンは息を呑む。衣服に擦れたり、月のものが来た時などには痛くなるので、胸の先が敏感であることは知っていたが、こんなふうに快感を得たことはなかった。
 ジェラルディンの反応に気づいているのか、サミュエルは執拗に乳首を捏ね始める。指の間で転がしたり、捻ったりと弄くり回され、その度に甘い疼痛がジェラルディンを苛んだ。
 舌先で上顎を擽っていたサミュエルが唇を離した。ようやくまともに息ができて、喘ぐような呼吸を繰り返している間に、彼は頭を胸の方へ下ろしていき、まだ触れていない方の乳房にキスを落とした。
 クツリ、と喉を鳴らして笑う微かな音が聞こえ、いつの間にか閉じていた瞼を開いてそちらを見ると、サミュエルの美しい顔が自分の乳房の上にあって、カッと頬が熱くなる。自分の白い肉に男らしいゴツゴツとした指が食い込んでいる光景は、なぜかひどく卑猥に映った。
 サミュエルはジェラルディンと目が合うと、うっそりと笑ってふうっと乳首に息を吹きかける。その微かな刺激にも、ジェラルディンの体は快感を拾ってしまう。びくりと揺れた乳房を見て、サミュエルは笑みを深めた。そして赤い口を開くと、乳房の頂で揺れる乳首をベロリと舐め上げる。
「──っ」
 自分の胸の先が温かく濡れた感触に包まれるのを見て、心臓がビリッと震えた。全身の血が沸騰したように熱くなって、下腹部に燠火のような熱が灯る。まるで内側から溶かされているような感じに、は、と短く息を吐いた。
「サミュエル……」
 助けを求めるように名前を呼べば、彼は目だけで微笑み、ジュッと音を立てて乳首を吸う。
「ぁあっ……!」
 強い快感に、悲鳴が漏れた。
 熱くぬめった口内で、すっかり勃ち上がった乳首をコロコロと舐め転がされると、下腹部がきゅうきゅうと疼く。痛いような切ないようなその疼痛に、脚の間からじわりと何かが染み出してきて、ジェラルディンはもじもじと脚を寄せた。粗相ではないことはわかっていたが、なんだか無性に落ち着かず、恥ずかしい気がした。

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