ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

侯爵様と私の攻防
  • yondemill

侯爵様と私の攻防

著者:
富樫聖夜
イラスト:
うさ銀太郎
発売日:
2013年02月20日
定価:
660円(10%税込)
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なんで夜這いしてるんですか!?

姉の誕生パーティの夜、とつぜん夜這いをされた伯爵令嬢のアデリシア。
相手はなんと、容姿端麗、文武両道、若くして侯爵位を継いだジェイラント!?
これは何かの間違いに違いない! そもそも、浮き名が絶えない侯爵様なんて絶対に嫌!
なんとか逃れようとするアデリシアだが、ジェイラントは執拗に迫ってきて――。

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登場人物紹介

アデリシア

アデリシア

本が大好きな伯爵令嬢。ジェイラントから逃れるために、大胆な行動に出るのだが…。

ジェイラント

ジェイラント

若き侯爵。アデリシアを手に入れるため、何か画策している様子。

お試し読み

「やめて、やめて、お願いですから、侯爵様!」
 怖くなって叫ぶと、ジェイラントの手が止まった。
やめてくれる気になった……? と安堵しかけたその時、ジェイラントがアデリシアの顔を覗き込んできた。そして、え? と思う間もなく唇を塞がれる。
「んんっ」
 これが生まれて初めてした異性とのキス……と感慨にふける間などなかった。何しろ触れるだけの可愛いものではなく、固く閉じた唇のわずかな隙間からジェイラントの舌がするりと入り込んできたのだから。
「……ん、ふぅ…」
 為す術もなく、舌を絡め取られた。そのざらざらした感触に震えが走る。歯列をなぞられ、上あごを擦られ、根元を扱かれるたびにお腹の奥が疼き、手足が痺れて力が入らなくなっていく。
「……ん……んん……」
 角度を変えて何度も繰り返される。執拗に絡まれて、吸われて、息が苦しくなる。そのせいかアデリシアは次第に朦朧としてきて何も考えられなくなった。
 聞こえるのは、お互いの篭もったような声と呼吸音、そしてどちらのものかも分からない唾液が立てる水音だけ。アデリシアの感覚も意識もすべてがそこに向いていた。だからいつの間にか手首の拘束が解かれていたことも、キスをしながらジェイラントがドロワーズの中に手を差し込んだことにも気づかなかった。
「っん、んん!?」
 いきなり両脚の付け根を冷たい指でなぞられて、アデリシアは悲鳴を上げた。だが、その悲鳴も声にならずにジェイラントの口に中に消えていく。花弁の形を確認するようにぐるりとなぞっていた指がじんわりと滲む蜜をその指に絡めるかのように、そして入り口を広げるかのように浅くかき回す。
「んんっ、んー!」
 その指から逃れたくても絡みつく足がそうさせてくれず、また悲鳴を上げたくても口はふさがれたまま、ただただ逃しようのない熱だけが全身に広がっていった。入り口を戯れに弄っていた指が、蜜をまとってぐぅと奥に差し込まれる。ぴりっとした痛みと異物感にアデリシアは息を詰めた。
 ――やめて!
 だがもちろん指は止まらなかった。内側の壁を擦りながらゆっくり、けれど容赦なく入ってくる。やがて根元まで差し込まれると、中で何かを探るような動きが始まった。壁を擦り、ゆっくり抜き差しを繰り返しながら、指を曲げて、また壁を撫でる。
「んぅ、ん、ん……」
 唇を食まれながら、アデリシアは為す術もなくそれを受け入れるしかなかった。身体の奥からじんわりと何かが染み出してくるのを感じる。くちゅくちゅという粘膜の立てる水音が、もはや口からではなく指を受け入れている部分から聞こえてくるのが分かる。
「……ん……んんっ!?」
 探るように中で蠢いていた指が、不意にある一点に触れた。とたんにアデリシアはビクンと身体を跳ね上がらせた。……なんだろう、今のは?
 反応を確かめるために指が再びその部分を掠める。
「んぅっ!?」
 びりっとしたものが背筋を駆け上がり、意思に反して腰が浮き上がってしまう。くちゅと粘着質な水音を立てて唇が離れると、ジェイラントは小さく笑った。
「見つけたよ、アデリシア。貴女の感じるところを」
「い、あ、ああっ!」
 指が執拗に同じ部分を擦り上げる。アデリシアの身体はそのたびに陸に打ち上げられた魚のようにビクンビクンと跳ね上がった。足の指先がきゅうと丸まって、シーツを掻く。
「ああ、いやぁ、ああ、あっ」
 口では嫌だと言いつつ、この声の甘さは何だろう。自分の声ではないみたいだ。勝手に喉をついて出てくる。ジェイラントの指が動くたび、声が漏れる。じっとしていられなくて腰が波打つ。
「感じてるんですね、アデリシア。すごく綺麗ですよ、綺麗で――ものすごく淫らだ」
 指で胎内を犯しながら、再びアデリシアの胸にキスの雨を降らせて、ジェイラントはうっとりとつぶやいた。その唇が頂を嬲りながら歯を立てると、アデリシアは痛みと快感の狭間で「んくぅ」と猫が喉を鳴らすような声を漏らして身を反らせた。それが却ってジェイラントの顔に胸を押し付けることになるのだが、アデリシアは気づいていない。
 いつの間にかアデリシアの膣を犯す指が増やされていた。奥から滲んでくる蜜で滑りの良くなった中は抵抗もなくその二本の指を飲み込んでいく。
「さっきに比べてここがずいぶん柔らかくなっていますね、分かりますか」
 そう言って別々に蠢く二本の指にかき回され、そして張り詰めた胸の頂を歯で転がされ、腰が波打った。

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