ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

僕の可愛いセレーナ
  • yondemill

僕の可愛いセレーナ

著者:
宇奈月香
イラスト:
花岡美莉
発売日:
2013年11月03日
定価:
660円(10%税込)
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もっと乱れて、僕に狂って。

何重もの鎖で閉ざされた部屋の中、毎夜のごとく嬲られ、快楽に溺れていく身体。セレーナは囚われていた。仔犬のように無邪気で、飢えた獣のように危険な夫・ライアンに……。
美貌の伯爵ライアンに見初められた町娘のセレーナは、身分差を乗り越えて結婚することに。隙あらばじゃれつき、愛の言葉を囁いてくるライアン。しかし幸せな結婚生活は、ある出来事をきっかけに歪んでいき――?

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登場人物紹介

セレーナ

セレーナ

両親を亡くし、祖父と二人で暮らしていた。ある日突然ライアンに求婚されて…。

ライアン

ライアン

美貌の伯爵。セレーナに一目惚れしたと言うのだが…。

お試し読み

「あなたがいないと、もう生きていけない」
 指先に触れる吐息の熱にセレーナの体温もつられて上がった。
(どうして……?)
「どうして、私なの」
 何度も問い続けた言葉を、今また口にした。ライアンは胸が痛くなるほど切ない微笑を浮かべ、セレーナを引き寄せた。
「あなたでないと、駄目なんだ。この小さな手も、細い腕も、柔らかい黒髪も、この唇も、セレーナのすべてが愛しい」
 言葉が指す場所を彼の指先が辿る。
「あ……っ、待って」
「もうたくさん待ったよ。セレーナ、……触れてもいい?」
「ライ……、んっ」
 くいっと後頭部を後ろに引かれた直後、口づけられた。一瞬触れてすぐに離れた。だが、ライアンは何かを振り切るように目を眇めて、また唇を合わせた。
「んんっ……」
「愛してる」
 囁き、舌先が唇を舐めた。持っていた薔薇がはらり…と手から零れ落ちる。生温かい感触に怯えた隙に唇を割って舌が口腔へ潜ってきた。初めて知る感覚に反射的に腕を突っぱねるが、腰を絡め取られ抵抗を塞がれた。
 大丈夫だと言わんばかりに、背中を撫でられる。ライアンは何度も角度を変え、セレーナの唇を貪った。
 小柄なセレーナと長身のライアンとでは背伸びをしても、彼の肩ほどしかない。苦しい体勢に身を捩ると、ライアンは軽々とセレーナを横抱きに抱き上げた。そうして温室に置かれていたテーブルに腰かけさせられ、見つめ合った。
「愛してるよ、ずっと愛してる」
 足の間に体を割り込ませながら続ける激しい口づけ。テーブルについた彼の二の腕が、覆う体躯が、塞ぐ唇が、セレーナを囲う檻となり、抵抗も逃走も叶わなくなった。
 舌先で上顎をくすぐられるたびに生まれるむずがゆさがある。少し擦るような動きに変わると、それはより鮮明になった。やり場のない舌を絡め取られ、口の中で弄ばれる。
 息継ぎの仕方も知らないセレーナの思考は、ライアンの濃厚な口づけと薔薇の甘い香りで、徐々に朦朧となってきた。
「もう少しだけ唇を開けて。赤い舌を見せて」
 言われるがまま口を開けると、「可愛い」と言われた。
 飲み損ねた唾液が口の端から喉へ伝う。心臓は痛いくらい早鐘を打ち続けているけれど、何に対して警鐘を鳴らしているのかが分からない。
 ライアンの手がゆっくりと服をずり下げ、肩を剥いた。
「綺麗だ……」
 うっとりとした声音で呟き、そこにも口づける。
 体中に薔薇の香りが充満していて、まともに考えられない。セレーナがさして抵抗らしいものを見せないでいると、ライアンの行為は少しずつエスカレートしていった。反対の肩も剥かれ、ずり下げられた服から乳房が零れた。
「や……っ、だめぇ」
 空気に触れる面積の大きさに身じろぎするが、動きはひどく緩慢だった。むせ返る薔薇の香りに酔ったのかもしれない。
「セレーナ、見せて。すごく可愛いんだ」
「あぁ……っ」
 両方の手で包まれた乳房にライアンが顔を寄せた。薄桃色の頂を口に含まれると背中が弓なりに反った。唇で食まれた後、舌を這わされる。ざらついた感触でねっとりとねぶられる刺激に怯え、セレーナは嫌々と首を振った。
「そんなこと……しない、でっ」
「じゃあ、これは」
「あぁ、ん!」
 こり…と突起に歯を立てられ走った感覚に、セレーナはあられもない声を上げてしまった。羞恥に泣きたくなりながら慌てて口を噤み、ライアンの体を押しやろうとすることで必死の抵抗を試みる。
 だが、思うように力が入らない。これでは彼の肩に手を添えているだけだ。
 ライアンへの想いが何なのかも分からないのに、こんなの間違っている。
「ライア…ン、私……っ」
「可愛いよ、セレーナ。もうこんなに固く尖ってる」
「や……ぁ、あぁ」
 乳房を握った指の隙間から飛び出した突起を、ライアンは舌先で突いた。
(あぁ、私の胸を……あんな風に)
 卑猥な光景に涙が零れた。恥ずかしくて、いっそ気を失ってしまいたいのに、じくり…と感じたことのない疼きを下腹部に覚えた。それは徐々に熱を帯び、全身に広がる。むずがゆさを散らしたくて、セレーナは腰を揺らめかせた。
 大きく開かされた足からはドロワーズの裾が見えるほどワンピースの裾がめくれあがっていた。それがまたセレーナの羞恥を煽り、ライアンに気づかれないうちに隠してしまおうと手を伸ばしたのだが、あっさりと阻まれてしまう。
 しかもライアンは、掴んだ手をセレーナの大切な場所へとあてがったのだ。
「あ……」
 股の付け根、愛する人だけが触れる場所は布越しでも生温かかった。微かに湿り気を帯びた場所をライアンはセレーナの指を使ってゆるり、ゆるりと撫でた。
「やめ……て、触らないで」
「あなたの手だよ」
 それを強いているのは、ライアンではないか。言い返そうとした矢先、ライアンは秘部をなぞっていたセレーナの指を口に含んだ。

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