
愛を忘れたなんて許さないと言われましても。偏執魔道士との蜜月なんてまったく記憶にございません!
- 著者:
- 深森ゆうか
- イラスト:
- 吉崎ヤスミ
- 発売日:
- 2025年07月03日
- 定価:
- 858円(10%税込)
「記憶はなくても身体は覚えているかもしれないな」
ある日目覚めたら上司である天才魔道士クレイシスとベッドの上にいたデリア。超魔法オタクで非常識、秘書兼助手の私に面倒ばかりかけるこんな男となぜ!? クレイシス曰く、自分たちは二ヶ月後に結婚する仲らしい。その上デリアは“ 来月” 何者かに殺されてしまい、彼が古代魔法で時間を戻したという。とはいえデリアにそれらの記憶はない。真相を見極めるべく奔走するも、体には愛の記憶が残っているようで彼に触れられるたびに反応してしまい――?
魔法しか興味のない天才魔道士×生真面目で融通の利かない秘書兼助手、死に戻りから始まるラブコメディ!


デリア
クレイシスの秘書兼助手。生真面目で頑固。横暴なクレイシスに『絶対に絆されない!』と心に決めていたが……。

クレイシス
妖精王と見まがう美貌を持つ天才魔導士。誰に対しても尊大で女性を寄せ付けないがデリアにだけは……。
この身体の震えは組み敷かれる恐怖じゃない。悦びの震えだ。
彼の囁きに、自分に触れる唇の感触に、デリアの身体が歓喜している。
脱がされた制服は椅子の背もたれに掛けられた。皺になりそうな掛け方なのに、気にならない。今自分はそっちに意識が向いていないからだと悟る。
早く抱かれたい。早く一つになりたい。
「そんな物欲しそうな顔をしないでくれ」
クレイシスに言われ、羞恥に全身を赤くした。
「少しでも思い出せるようなこと、しようか」
「そ、そんな──きゃあ!」
いきなり彼に両足を曲げられ胸まで持ち上げられる。あまりにはしたない体勢にデリアは身体を捩る。
明るい光が研究室に降り注ぐ中、全裸でテーブルに押し倒された自分の姿がとても恥ずかしい。しかも一番秘めなくてはいけない箇所を彼の手によってさらけ出されているのだ。
「やっ、やめ……て、こんな明るい……場所で、こんな……っ」
涙目で訴えるも、クレイシスは涼しげな表情で返す。
「心地好いのではないか? いつものように素直に求めればいい」
こんなことを求めろと? 頭に非難の言葉が思い浮かんだが、この状態にデリアの身体は興奮しているのか、蜜口からとろとろととめどなく蜜が溢れている。
──自分は変態だった!?
認めたくない事実に、一瞬呆然としたデリアだったがすぐに我に返る。
いつの間にかシャツをはだけさせたクレイシスがしゃがんだと思ったら、開かされたデリアの股の間に顔を近づけたからだ。
「──ひっ、やぁっ、やぁあん、そこは……っ、いけな……っあ、ぁあっ」
クレイシスの舌が、ぷくりと膨らんで今にも綻びそうな花蕾を這う。
それだけで今まで以上に腹の中が熱くなり、デリアは乱れた。彼は指先で蜜口の周りを撫でまわしながら花蕾を舌先で突き、軽く歯まで立ててくる。
「はぁぁああっ、ひゃぁ、ああっ、あ、あっ……っ」
絶頂のような感覚が全身にいきわたり、デリアはびくりと背を仰け反らせる。なのに、クレイシスはやめないどころか、同時に蜜口に指を埋めてくる。
「ひゃあっ、ぁああっ! そ、それ……っ」
「いいのだろう?」
「……ち、ちが……っ」
「怖くない、恥ずかしいことじゃない、相手は婚約者の私だ。いつものように乱れてくれ」
──そうしたらきっと、思い出すから。
「わ、わたし……っ、ほ、ほんとう……っ、に……? クレイシス様、と?」
「『様』付けはやめてくれと──」
「ふぁっ……! あ、ぁあっ」
蜜壺と化した下の口は、数回挿し入れしただけですんなりと彼の指を呑み込み、チュプチュプと卑猥な音を奏で出す。音と指の抽挿に全身が痺れ、快楽が走り抜ける。
「ほら、デリア。君の中が私の指に絡みついて放すまいとしている」
「ぁ、ぁあ……っ、そんな……、う、噓でしょう……っ」
「噓だなんて……。自分に素直になれ。この事実を受け止めれば、きっと……」
襲ってくる快感にデリアは堪えながら、クレイシスを垣間見る。クレイシスの表情は──いつもの清涼感ある妖精王のそれから、猛禽のものに変化を遂げている。
けれど、その様子にも男を感じてときめいてしまう。
──わたし、やっぱり変態なのかな? テーブルの上で事を成そうとしている事実を受け入れて、乱れてるなんて。
「気持ち好いか? デリア。もっと感じてくれ。もっとしてほしいことはあるか?」
わからない。デリアはただ頭を横に振る。快感で涙腺が緩んでいるせいか、目から涙まで零れた。
膣壁はこの時点で収縮を繰り返していて、お腹が苦しい。なのに、感じて胸の先はツンと勃ち上がっている。
彼の、自分を見つめる眼差しはいやらしい。その視線にもデリアの身体はゾクリと粟立ち、ますます秘所を濡らしていく。
「今日のデリアは、一層綺麗だな……。恥じらいながらも乱れて、でも、悦楽に抗うことができなくて……。こんなふうに乱れさせることができた私は、喜びに高揚しているよ」
蜜が溢れ、彼の指が激しく抽挿する。蜜壺の中でジュブジュブと音を搔き鳴らし、時折指を開いては、折り曲げたりと膣壁を刺激する。
そのたびにデリアは嬌声を上げ、ビクビクと腰を震わせた。信じられないほど感じているのに、身体は「もっともっと」と、貪欲にさらに強い刺激を求め、蜜壺の奥が切なく収縮を繰り返す。
「はぁ……っ、ぁああっ、ああん……、クレイシス……!」
「そうだ、そう呼んで私を求めていてくれた。もっと、私を求めてくれ」
「ほしい……っ、はぁっ、もっと……あ、貴方を……っ」
はしたないと思うも、すでに思考は霞み、本能が剝き出しになって身体を染め上げていく。
指だけでこんなに感じさせられて、身体はもう一人で冷ますことができないほど熱い。
腹の底から何かがせり上がってきている感覚が、ますますデリアを落ち着かなくさせる。
「お腹が……お腹の奥が……っ、おかしい……のっ」
この感覚がなんなのか、デリアは思い出せない。けれど──なにか、とても『いいもの』だと身体は訴えている。
早く弾けろ、と。
「欲しがっているんだ、私を。それはデリア自身の願いだ。受け入れてくれ」
下半身を隠していたトラウザーが床に落ち、さらけ出された雄芯は興奮して勃ち上がっていた。先からうっすらと透明な蜜を溢す様子に、デリアの胸が激しく鳴る。
これからあれを受け入れると思うと、恐怖より期待のほうがずっと高いという事実はもはや受け入れざるを得ない。
クレイシスの言う通り、自分の身体は、本能は、彼を欲している。
「昨日に引き続きだ。君の身体はすぐに私を中に受け入れるだろう」
彼の手がデリアの膝を抱え、身体が間に滑り込む。同時に、ひたり、と彼の雄芯が蕩けている蜜口に押し付けられた。
「……ん、んんっ……あっ」
一気に奥まで彼のそれが入り込んだ。クレイシスは勢いよく雄芯を打ち付ける。
デリアはまるで電流が駆けたような強い刺激に襲われる。目の前がパチパチとして、思わず背を反らした。
「はぁぁぁぁあああんっ、ああっ、ぁああっ……!」
デリアが落ち着くのを待たず、クレイシスは性急に腰を打ち付ける。
ぱちゅぱちゅと水音を奏でながら中を穿たれ、デリアはただ悦楽に浸り続ける。
「はぁ……っ、ああっ、ぁあっ、ん……ぃい、いいの……ぉ、クレイシス……!」
「私もだ……。君の中は相変わらず素晴らしいよ。放すまいと私のをとらえて、奥へ奥へと引き入れようとする……」
クレイシスは獣のように呻いたかと思うと、デリアの膝から手を放し、上に覆いかぶさった。
切なげな表情で喘ぐデリアと唇を重ねる。
「デリア……っ」
「ク、クレイシス……っ」
それ以上の言葉が思いつかない。互いの名を呼び合い、口を合わせて淫らに舌を絡め合わせ、腰を揺らす。
その動きはますます激しくなり、デリアは耐えられず唇を離し、喜悦の声を上げた。
クレイシスは嚙みつくようにデリアの首筋を喰み、同じように耳朶にも食らいついてくる。その姿はいつものクレイシスとは到底思えない野獣のようにデリアには見えた。
──この姿は、私しか、知らない。
そう思うと、身体の中がきゅうと収縮する。もっともっととねだるように膣壁が雄芯に絡みつき、クレイシスをより煽り立てた。
宝石と見まごう瞳が快楽に濡れて、いつも以上になまめかしい。
「堪らない……やはり君の身体は覚えている。私のことを……」
「クレイシス……っ」
今までの話がクレイシスの偽りであったなら、自分はこんなに快楽に揺さぶられ理性を失うことはなかったはず。
──私は、本当にクレイシスと恋人同士で、結婚するはずだったんだ。
雄芯を最奥まで何度も打ち付けられ、デリアの腹の底にまた得体のしれないものがせり上がってくる。
ああ、また、来る。
「クレイ……シス! ……くるの、くるわ……っ!」
先ほどよりも深い。デリアの腹の中が生き物のように蠢いている。クレイシスは薄く微笑んだ。
「そのまま……共に達こう。いつものように……」
「──っあ、やぁっ、やあああっ……っ!」
デリアは大きく背を反らし、手足の先に力を籠めた。
クレイシスも心地好さそうに呻き、腰の動きを速める。
──彼は知っている、自分が最も感じる場所を。
そう結論に至ったところで、デリアの身体に電流のような激しい痺れが突き上げてきた。
「きゃぁあっ……! くる……っ、くるの……!」
絶頂に達するタイミングで、クレイシスはデリアの上に覆いかぶさった。
唇が重ねられ、彼の情熱を与えられながらビクビクと身体を痙攣させる。
クレイシスも同時に達し、デリアの中に熱い飛沫が注がれた。